2010/08/20
友がみな我よりえらく見える日は・・・。
この本を読みましょう。
『友がみな我よりえらく見える日は』
上原隆著 学陽書房
ホームレス、リストラ、離婚、うつ病・・・。
登場する人たちは、「普通」という集団からは、少しずつずれて
しまっています。
思わぬ不運が次々に襲ってきたり、大失敗を犯してしまうと、
誰もが自信を失ってしまいます。
普段は特に意識しなくても「普通」の集団に所属しているものと、
漠然と思っていた人は急に不安になります。
自分は落ちこぼれだ、だめな人間なのだ、人並み以下なんだ、と
落ち込み、疎外感に苛まれます。
自分の殻に閉じこもり、社会と対峙することに尻込みし、
びくびくしているような時には、動植物や昆虫、赤ちゃんなど、
自分より弱いものばかりに目が向きがちです。
無防備な弱者がけなげに生きている姿は、自信を失くした心
にも、勇気をもたらしてくれるからです。
花に水をやり、ペットに餌を与える。
弱者に取り囲まれて、自分が必要な存在として認められ、頼られ
ることを積み重ねながら、少しずつ傷を癒していくのです。
本書に登場する人たちのエピソードは、なんとも惨めだったり、
情けなかったりとトホホなものです。
でも、落ち込んだ人たちの特効薬となることは請け合いです。
本書を、ご家庭の本棚の隅や、持ち歩く鞄の奥にしまっておく
ことをお勧めします。
万一、わが身に不幸が襲い掛かったとき、とっておきなエピソード
を読み返すことで、何よりまさる癒しとなるかもしれません。