失礼ですが・・・ | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/6/28

コラムで他人の文章を長々と紹介するのは大変失礼で、手抜きと
言われてもやむを得ないのですが、以下、『お宝発掘』(ナンシー関著 世界文化社)から引用します。
 
ナンシー関さんが「人物紹介」といったたぐいの雑誌取材を受けた
時のことです。
約束の時間に1時間も遅刻してやってきた記者は、熱心に取材依頼
してきたくせに、ナンシー関さんのことをまったく知らないのでした。

そして・・・
 
“取材が進むにつれ、だんだん腹が立って、キレそうになっていく。
 途中でAさんは

 「コレ書きませんから。年収どれぐらいあらはります?」とか
 「コレは書きませんけど、体重何キロです?」

 なんていう質問をした。
 相手の嫌がる質問をして、答えを聞き出すのも取材の一手段だろう 

 が、記事にしないと前置きしてるんだから、何がどういうことなんだ 

 か。
 初対面のあなたにだけそっと教えろ、ってことなのか。

 しかし私は、キレもせず終始にこやかに滞りなく取材を終えた。
 それは、Aさんが私よりかなり年上だったということもあったが、
 もうひとつ、私が怒り出すわけにはいかない理由があった。
 
 Aさんは、これらの失礼に関して全てに「失礼ではありますが」
 という前置きをするのである。

 「申し訳ないのですが、今、東京駅に着いた。」
 「勉強不足で失礼があるかと思いますが。過去に何度もきかれた
  質問と重なるかもしれませんが、よろしくお願いします。」
 「こんなことおききするのは失礼ですけど、記事にしませんから。」

 と、こんな調子なのである。
 
 このような前置きは、ある意味ではなかば慣用化した枕詞である。
 でも慣用的使い方をするならば、それは「勉強不足」や「失礼」と

 言いながらも実はちゃんとしていて、万が一のためとかあるいは

 自分の「ちゃんと」を謙遜して言う、というものではないか。

 Aさんの「失礼ですが」は確信犯だ。
 予告殺人みたいなものである。予告すれば殺人をとがめらないの
 ならば、いいシステムだ。
 
 全く逆のしくみになっている日本語を、思い出した。

 「ここでキミに謝りたい」と言っておきながら、そのあとに「ゴメン」

 とも何とも言わない、というシステムだ。
 私は昔からこれが納得いかない。
 「そ、それでしまいか」 
 とツっこみたい衝動にかられる。
 ま、日本語はむずかしい、とまとめておきたい。”
 
ま、今日のコラムはこれでおしまいです。
長文の引用で手を抜いたことをここで皆さんに謝りたいです。