わたしの渡世日記 | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/6/9 

ダウンタウンの浜田雅功、くりぃむしちゅーの上田晋也、爆笑問
題の田中裕二・・・。

漫才で大成するにはツッコミがうまくなければいけません。

爆笑問題の太田光さんはまだ売れない若い頃、立川談志師匠から、
爆笑問題が成功するかどうかの鍵は、相方の田中が握っているの
だからくれぐれも田中を大切にしなければならないと、強く言っ
てきかされたそうです。

この大女優のエッセイは、激しい“自分ツッコミ”によって凄み
のある傑作になっていました。

『わたしの渡世日記 上・下』
      高峰秀子著 文春文庫他

今から30数年前に書かれた本書は、女優高峰秀子さんの前半生の
自伝ともいえる内容ながら、自らを美化することもなく、綺麗ご
となどひとつも書かれていません。

故人の評伝であれば客観的事実を赤裸々に記述することは出来ま
すが、生身の人間でしかも虚構を演じて生きる女優が、ここまで
自分を的確に相対化して、しかも淡々と文章を紡ぐことができる
とは・・・。

高峰秀子さんは、昨年末、86歳で亡くなりました。以来、

『名もなく貧しく美しく』『二十四の瞳』『浮雲』

など主演作品が立て続けに放送されました。
本書が日本エッセイスト・クラブ賞を受賞していたことを最近知
り、今さらながらに読んでみたのです。

本書では、養母との確執の一部始終や、20歳も年上のプロデュー
サーとの恋愛沙汰と金銭トラブルまでもが、決して悲観的な調子
ではなく、むしろユーモラスに描かれています。

幼い頃から高峰さんを翻弄し続けた過酷な運命は、彼女を徹底的
なリアリストにし、自分の内面までも客観視して批判することが
できるほどの観察眼を養ったのでしょう。

私たちも高峰さんを見習って、自分の企業に容赦のない“自分
ツッコミ”を入れて欠点を剥き出しにすることができるようにな
れば、隙のない成熟した大人の企業となることが出来るでしょう。