2014/5/30
24節気「小満」の末候は「麦秋至」。
今年は5月31日～6月5日になります。
麦は米と並んで日本人には重要な穀物です。
米は秋に収穫されますが、麦は初夏に収穫期を迎えます。
麦にとっての収穫の「秋」であることから、この時期を「麦秋」
といいます。
麦酒や麦茶に冷や麦。
これからの季節に【麦】は欠かせません。
「紀子、どうしてるでしょう。」
「う～ん。皆、離れ離れになっちゃったけれど。
しかし、まあ私たちはいい方だよ。」
「ええ。 色んなことがあって。 長い間。」
「う～ん。欲をいやぁ限がないが。」
「ええ。でも本当に幸せでしたわ。」
小津安二郎監督の名作『麦秋』のラストシーンです。
いき遅れの長女が嫁に行き、老夫婦も大和に隠居して、間宮家は
バラバラになります。
小津監督は、この作品について
「ストーリーそのものより、もっと深い《輪廻》というか《無常》
というか、そういうものを描きたいと思った。」
と発言しています。
結婚し、子供ができ、子供もまた結婚をして・・・。
黄金色に広がる一面の麦の穂は、確かに秋の寂しさを醸しています。
門脇麦さんという女優がブレイクしてきています。
「麦」という名前は本名です。
「チョコラBB Feチャージ」のCMで注目を浴び、現在は『ブラック・
プレジデント』（フジテレビ）に、女子大生役で出演中です。
ほんわかした天然系の役どころを演じていますが、不思議な魅力
を発揮して、存在感抜群です。
今年公開されたR18+指定映画『愛の渦』では「地味でまじめそうな
容姿ながら、誰よりも性欲が強い女子大生」というヒロインを演じ
ました。
本編123分中、着衣シーンは18分半のみという過激な映画でも、体当
たりの演技を披露し、その女優魂も並々ならぬものがあります。
まだ21歳。
伸長生長を始める前に何度も踏まれることによって、麦はしっかり
と根を張るようになります。
門脇麦さんの今後の成長が楽しみです。
『麦秋』の小津監督も、長女を演じた原節子さんも、皮肉なことに
結婚には縁がなく、子供にも恵まれませんでした。
しかし、お二人が確立した日本映画を支える、次世代の映画っ子は
次々に生まれています。
門脇麦さんの演技への情熱や女優魂には、小津監督や原節子さんの
DNAも間違いなしに受け継がれているはずです。