トムとジェリー | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/5/25

4月から『トムとジェリー』(BSプレミアム 水曜 後7:00~7:25)の
新シリーズを放送しています。
『トムとジェリー』はこれまでにアカデミー賞を7回も受賞しており、
筆者も幼稚園の時には一番大好きなアニメでした。
 
ジェリーは子供の憧れです。
体が小さいのに、何倍も大きいトムをやっつけてしまうからです。


パパやママはもちろん、お兄ちゃんやおばあちゃんも、子供の周囲
には自分よりも大きい人間がたくさんいます。


口でも力でも、大人にはかなわないだけでなく、欲しいものがあっ
たら買ってもらう立場でしかない子供は、いつも大人の顔色を窺い、
屈辱で小さな胸を痛めているものです。


だから、自分の何倍もの大きさのトムをコテンパンにやっつける
ジェリーに仮託して、日頃のストレスを発散しているのです。
 
しかし次第に自分の体が大きくなるにつれて、『トムとジェリー』
から興味を失っていきます。
思春期を過ぎ、両親を見下ろすほど大きくなった子供は、すでに
非力なジェリーではなく、力の強いトムになっているからでしょう。
 
『トムとジェリー』ではトムとジェリーが喧嘩する時ばかりではあ
りません。
たまに共通の敵と対決するときなど、両者の間には友情と言っても
いい空気が流れます。
 
『トムとジェリー』の最終話。それはこんなあらすじです。
 
“ジェリーが大人になった頃トムはもうこの世にいませんでした。
 トムは自分の命の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき、
 こっそりジェリーの前から姿を消しました。

 トムがいなくなったのに気づいたときジェリーは悲しみはしませ
 んでしたが、胸の奥が不思議にチクチクするのでした。
 それが何なのか、 ジェリーにはよくはわかりませんでした。

 そんなある日ジェリーの前に、のろまで小さな猫が現れました。
 トムがいなくなって寂しかったジェリーは、今度はこの猫を喧
 嘩相手にしようと考えました。

 ジェリーは、三角チーズが仕掛けられたねずみ取りを利用して、
 その猫に罠をかけることにしました。


 猫は罠に向かって近づいてきます。
 いつものように、自分がねずみ取りにひっかかるふりをして、
 逆に猫をねずみ取りにかけようと思います。

 猫はチーズの近くまで来たとき、美味しそうなねずみの匂いに気
 づき、目にもとまらぬ速さで隠れていたジェリーに襲いかかって
 きました。


 ジェリーはいつもトムから逃げていたように逃げましたが、トムより

 のろまなはずの猫にすぐに追いつかれてしまい、体をガブリと噛ま

 れました。

 ジェリーも噛みつき返しましたが、トムより体が小さいはずの猫は

 平気です。 

 血まみれのジェリーは薄れゆく意識の中で、本当は鼠が猫と喧嘩
 して勝てるわけがないことと、いつもトムはジェリーに「してやられ 

 た」ふりをして、わざとジェリーを捕まえないでいたことを、そのとき

 初めて知ったのです。 

 トムの大きな優しさと友情に気づいたのです。 

 そして、トムがいなくなった時に、胸の奥で感じたチクチクの正体
 にも気づきました。
 かけがえのない友を無くした悲しみでした。 
 ジェリーの魂が体を抜けた時、空の上には、優しく微笑み、ジェリー

 を待っているトムがいました。

 「また喧嘩ができるね」  

 「のぞむところさ、今度こそは捕まえてやるぞ」 ”
 
残念ながらこれは実際の最終話ではありません。
 

一説によれば日本人のファンが創作したものが、『トムとジェリー』の

最終話としてまことしやかにネット以上を駆け巡った、いわば都市伝説なのだとか。
 
大人と子供。
強者と弱者。

両者の葛藤からの和解は、人類永遠のテーマです。
現実にはなかなか和解できないからこそ、こうした都市伝説が生まれ
るのでしょう。