2014/5/21
「○○の社長って、ほんまにアホでっせ!」
○○は短期間でチェーン展開し上場している某有名飲食企業です。
「何しろお客においしい××を食べさせることしか考えてないんです
わ。」
発言したのもまた、短期間で自社を上場に導いたA社長です。
もっとも彼は、その後運命に翻弄されて、創業した企業を退任し、現在は全く畑違いの事業を手掛けています。
A社長は懇意にしている企業からの依頼で、上場企業の創業社長を招いて話を聞く講演会の世話役のような立場を務めており、成功した創業社長と話をする機会が多いのです。
A社長によると、創業社長と深く話してみると、彼らが考えていることは実はごくシンプルだと気づかされるのだそうです。
世界の経済情勢やら景気動向など、およそ経営者が絶えず気にかけているようなことなどほとんど考慮にも入れず、ただひとつことだけに専念しているとしか思えないとか。
「私は他人よりも目端が利き、うまく立ち回れる能力のおかげで、
短期間での上場を実現できたと思ってました。
曲がりくねって渋滞しているビジネス道を、誰よりも早く駆け
抜けてきたんです。
コーナーリングでは常に最短距離を取り、隙を見つけては相手
の車の前にさっと割り込みをするのも得意でした。
誰にも抜かれたことがないことが自慢だったんです。
ところが、いつのまにか私のはるか前を彼らアホな社長が悠々
と走っているやないですか。
いつ、どうやって彼らが私より先を走るようになってしまった
のか。
創業社長達と話をしてようやっと気が付きました。
彼らはコーナーリングは下手ですし、割り込みができる技術も
ありません。
ただ、ハンドルを握りしめてピクリとも動かさずにアクセル
だけは最大限にふかしよるんです。
曲がりくねった道など気にせずに、ただただまっすぐに走って
るんですわ。
そりゃあ道路を外れることもたくさんありますな。道の無い所
ですから森の中に突っ込んだり、沼にはまることもあります。
それでも気にせずにただただまっすぐにエンジン全開で突き
抜けてしまう。
他人が整備した道など気にかけずに、目指すゴールに向かって
最短距離を一直線で走るんですから、運よく駆け抜けられれば
先頭に立てる理屈ですわ・・・。」
目標を定めてわき目も振らずに一直線に向かう強い意志。
ただただアクセル全開で走り続けるパワーとエネルギー。
致命的な障害に出会うことのない強運。
利口に立ち回って目先の小さな利益を積み上げては喜んでいるような小物には、なるほどどれも持ち合わせていないものなのです。