親バカ | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/12/13

 

“我が子よ。

 お前には幸せで、いつまでも誰よりも長生きしてほしい。

 

 天女は3000年に一度、高い岩山に舞い降りてきて、羽衣で
 頂上を一撫でするという。
 それを何度も繰り返すと、岩山は擦り減ってしまう。
 40億年かかるとされるが、少なくともその5倍ほどは生きて
 もらいたいと思っている。

 

 海の砂はいくら掬っても無くならないし、水中に棲む魚も、
 獲り尽くせないほどの数がいる。
 砂や魚の数と同じくらい、お前には金銭的、物質的に恵ま
 れて、余裕のある一生を送ってもらいたい。

 

 水、雲、風。

 どこからきて一体どこまで行くのやら。
 その行く末は果てしがないけれども、お前の幸せにも果て
 しがなければ、どれほどうれしいことだろう。

 

 衣、食、住。

 どれもバランスよく恵まれ、どれ一つとして欠けることが
 ないようにいてほしい。

 

 柑子(こうじ)は春に花を咲かせて秋には実を付ける。
 冬になっても緑が変わらず、とても長寿の木だ。
 藪柑子を、お前のために植えてやろうと思う。

 

 長生きは繁栄の源だ、というのは歴史が証明している。

 かつて、パイポという国があった。
 シューリンガンという国王にはグーリンダイという王妃が
 あり、子供が二人いた。
 名前は、ポンポコピーとポンポコナー。
 この4人が皆とても長生きをしたそうだ。
 おかげでパイポ国は長いこと繁栄したと言われている。
 お前にもあやかってほしい。
 
 長く久しく命を助ける。

 親としてこれに優る喜びはないぞ。”

 

へたくそでお恥ずかしいですが、『寿限無』に出てくる名前
を翻訳してみました。

子供を思う親心を描いた噺だからこそ、前座話でありながら、
『寿限無』はいつまでも愛されているのでしょう。
 
親が子に託す願いは、皆同じです。
 
日本人でも、外国人でも。
お金持ちでも、貧乏人でも。
社長でも、派遣社員でも。
大臣でも、ヤクザの親分でも。
 
今も昔も。
私も、そしてあなたも。