なんにもございませんのよ。 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/9/24

国際競争力では順位を下げている日本ですが、アニメや、ゴス
ロリファッションなど、文化の発信源としてのパワーはむしろ
アップしているのではないでしょうか。

博多一風堂をはじめ、ラーメン店はニューヨークで大人気で、
既に多くの店がしのぎを削っている状況です。
ハワイにある丸亀製麺は、日本国内の全店舗を上回る売上を
叩きだしているとのことです。

寿司やすき焼きといったA級グルメだけではなく、こうしたB級
グルメが浸透してきていることは、観光ガイドを一撫でした
だけではわからない日本の路地裏文化にまで、海外の視点が
集まっていることの証でしょう。

日本国内では依然として昭和レトロブームともいうべきものが
続いています。
『昭和ことば辞典』(大平一枝著 ポプラ社)には昭和10~40年
代の日本映画に登場した言葉を採録してあります。

「後生ですから、もうちょっとお待ちになって。」

「すぐ、おぶ入れて参りますから。」

「なんにもございませんのよ。」

「やぶからぼうになんだい。」

「お帰りあそばせ。」

「いい加減にしないと、ひどいわよ。」

「ねえったらよー。」

「ちょっとお金こしらえてきました。」

「あら、頃合いの値段ですわね。」

‘寝ぼすけ’、‘夫婦約束’、‘せっちん’、‘ゴム長’、‘丹前’

押入れに仕舞い込んだまま随分使わなくなってしまった言葉の、
なんと愛しいことでしょう。
どこかのんびりほのぼのとした空気感が漂う、こうした言葉の
一つ一つが、スピード化時代を生きざるえないを人々の心を癒
してくれるのです。

「物事をむき出しにしてはいけません。」と、著者が“終わりに”
で記しているように、狭い日本で、相手の自尊心を傷つけない
ように意図を伝えるのは、先人たちの素晴らしい智恵だったの
です。

東京五輪が近づくにつれて、今まで以上に日本にやってくる人は
増えてくることでしょう。

「なんやねん。お嬢ちゃん、そんな不景気なもん目から出して。」

迷子になって泣きじゃくる迷子も、関西のおっさんの毒気に当て
られて、涙はすぐに引っ込んでしまうでしょう。

「お茶番だけでもお手伝いしましょうか?」

忙しく立ち働く外国人プレスの現場で、ボランティアがこんな言葉
を掛けてあげたらどうでしょうか。

にわか仕込みの下手な外国語で冷や汗をかくくらいなら、昭和言葉
をきっちりしゃべった方が、ニュアンスははるかに伝わるかもしれ
ません。