2013/8/29
ペットと言えば犬、猫です。
飼育数は犬猫合わせて2,200万頭で、15歳以下の日本の子どもの
数1,600万人を大きく上回っています。
ペット愛好者には“珍獣”をペットとしたいと考えている人も
少なくありません。
『キミは珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?』
飴屋法水著 文春文庫PLUS
そもそも珍獣とは何か。
本書では、ペット市場になかなか出回らないことをもって、珍獣
と定義しています。
珍獣となってしまうのには、以下のような理由があります。
① 飼ってもつまらない。
たとえばミミズ。
確かにペットとして買おうという人はいないでしょう。珍獣
ショップを経営する著者は、かつてアリジゴクを1匹500円で
売ったところ、全く買い手がつかなかったとか。
② 飼育がたいへん。
たとえばモグラ。
大食いで1日にミミズをザル一杯食べます。毎日毎日それだけの
ミミズを用意できる飼い主も、売れるまで続ける店もありません。
③ デリケートで死にやすい。
たとえばヒヨケザル。
動物園でさえ過去最長4か月の飼育記録しかありません。
死にやすい動物はペットショップも敬遠します。
④ 馴れずに危険。
たとえばムササビ。
著者の店の店員の女の子はムササビにかまれて今でも指の1本が
動かないそうです。
⑤ ムチャクチャ臭い。
たとえばフサオヤマアラシ。
1匹いるだけで店中にワキガ臭が漂うそうです。
⑥繁殖能力が低い。
たとえばサル。
1年に1回、しかも1匹しか産まない動物は、なかなか市場に出回り
ません。
このように、市場論理に合わないものは淘汰されてしまうのです。
その点、犬や猫は別格です。
飼って楽しく、飼育もそんなに難しくなく、人間にもよく馴れます。
人間の世界でも、生き残る者は決まっています。
主人の後を揉み手をして付いて回り、命令には絶対服従する犬型か、
仕事はろくに出来ないけれども、懐に取り入って甘えるのが得意な
猫型か。
個性の強い変わり者が、社会で生き残っていくのはとても難しいの
です。