目が大きく小顔で色白 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/7/25

「目は大きく」、「あごはシャープ」になって小顔に。
「肌は色白でつやぴか」に、「髪の色は自由自在」。
「足は細長く」なります。

「 」内は最近のプリクラについている機能です。
道理でプリクラに写った女の子の顔は小さいのに、目は異様に
大きく、誰もが同じような顔をしているわけです。

『美容整形と〈普通のわたし〉』
  川添裕子著 青弓社

“人間は身体を加工する動物である。身体は、社会の規範や価値観
 を踏まえて、意識的であれ無意識的であれ、世代を通じて、一生
 をかけて、そして日々加工される。その方法は地域や時代で多様
 性がある。
 美容整形は多様な身体加工術の一つである。”

ミャンマーのパダウン族では女性は5歳ごろから首輪をはめて徐々に
首を長くしていきます。テレビでも時折見かけます。

また、皮膚を刃物などで切ったり焼いたりして身体に文様を描くこと
を「瘢痕文身」といい、アフリカ、東南アジア、オーストラリアなど
各地で見られます。

「身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。」

『孝経』からの有名な一節を持ち出して、ピアスや美容整形への反対
意見の根拠とされていたのももう過去のことです。

「不孝三千」のなかの最たる‘不孝’とされるのは血統を絶やして
しまうことですから、美容整形をしたおかげでよい伴侶を見つけられ
て子供が授かれるのであればむしろ奨励してもいいほどだということ
もできます。
韓国で美容整形が盛んなのはこういう理屈であると著者は推測して
います。

一方、日本では「親からもらった肉体」という解釈が、明治期の近
代化教育のなかで「自らの身体」という新しい意味を獲得して変容
したのだとしています。
「自らの身体」は身体の責任を自らに課しますから、個人が自分の
意思で身体を作り上げることになるのです。

こうして身体加工にエクスキューズを得たことで、日本でも美容整
形に対する抵抗感が薄れて一般化してきています。
特に他国と違って特徴的なのは、日本人が美容整形に踏み込む動機
のほとんどは「きれいになりたい」ではなく、

「普通になりたい」

という点だそうです。
ここにも日本人の同調圧力の高さが現れているのでしょうか。

目が大きく小顔で色白・・・。

数年後にはプリクラ写真と同じような顔ばかりが、町にあふれてい
るかもしれません。