2014/5/1
40年以上前に書かれた本を読んでいたら「エチケット」という
言葉に出会いました。
なにか、久しぶりに目にした気がします。
ワインボトルに貼られているワインの産地や生産年・ぶどうの
種類などが書かれた紙を「エチケット」と言います。
本来、「エチケット」とは、訴訟書類を入れておく袋につける
目安札のことでした。
15世紀、ブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンは王位を得られ
ない悔し紛れに他のどの宮廷にもないほどの荘重な繁文縟礼
(意味礼儀や規則・形式などがこまごまして煩わしいこと)を
作り上げました。
訴訟目録のように煩瑣なのでその取り決めを「エチケット」と
呼んだのです。
この「エチケット」はブルゴーニュの姫がオーストリアに嫁す
ると共にその地に波及し、次いでスペインにも伝わっていきま
した。
つまり、全ヨーロッパに伝わったエチケットは、ブルゴーニュ
公の悔し紛れの劣等感から作られたというわけです。
元々、何の権威も正当性もないエチケットですが、無知の人々
をおびえさせる効果は十分にありました。
極東の小国たる日本では、ヨーロッパへの劣等感からか、エチ
ケットを身につけようと躍起になりました。
かつて、高校では卒業を控えた生徒にテーブルマナーを教えよ
うとの講習会を開くところが多数ありました。
フォークの背に、無理矢理ライスを乗せては、ぎこちなく口に
運ぶ光景をよく見かけました。
「エチケット」と言う言葉を耳にしなくなって久しくなりました。
日本人はフォークを右手に持ち替えてライスを掬いあげ、自信
たっぷり堂々と口に運ぶようになりました。
寿司は世界中で食べられるようになり、和食はユネスコの無形
文化遺産に登録されるまでになっています。
・寿司はまず白身から注文する。
・わさびは醤油に溶かずにネタに付ける。
・「新子」はいくらおいしくても注文は一度に抑える。
嘘かまことかはどうでもよろしい。
100年後には、江戸の「粋」を学ぶために、世界中の高校生が、
「寿司食いマナー」講座を受講するようになるかもしれません。