ロイコクロリディウム・パラドクサム | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/4/30

「ロイコクロリディウム・パラドクサム」というカタツムリ
に寄生する寄生虫がいます。

彼はカタツムリの体内に入り込むと、どんどん移動して、や
がてカタツムリの目に達します。
すると、カタツムリの目の先端が赤っぽくなります。
目が赤くなったカタツムリは、まるで何者かに支配されてい
るかのように、どんどん木をよじ登って、高い枝の先端を狂
ったように目指します。
先端に辿り着いたカタツムリは、目が赤いのですぐに鳥に見
つかります。

哀れなカタツムリは、鳥に食われて死んでしまいます。

しかし、体内にいた寄生虫は、鳥の体内でも生き続けます。
そして、鳥が遠くまで飛んで行ってそこで糞をすると、糞と
一緒に脱出し、そこで分散して生活領土を広げるのです。

皇帝ペンギンには、自分の子もよその子も“保育所”のよう
にまとめて世話をする習性があります。
麗しき隣人愛に見えますが、これは惻隠の情の発露というわ
けではありません。

群れという集団の中で個体がバラバラで利己的に振る舞えば、
強い個体だけが生き残ります。
集団は弱体化し、外敵から襲われる危険性は増大します。
利他的に振る舞うことは、結果的にどの個体の生存確率も上
げます。
「情けは人のためならず」との結果になるわけです。

どの種類も自分が生き延びるためには他の生物の命を犠牲に
することを厭わないし、必要とあれば利他的に見える振る舞
いもするのです。

もちろん人間も例外ではありません。

地球上には、現在知られているだけで200万種もの生物が存在
しています。
そのすべての遺伝子が同じ物質ーDNA(デオキシリボ核酸)で
できています。
また、生物の体をつくっているタンパク質はすべて、20種類の
アミノ酸からできています。

生命誕生以来、40億年を生き延びてきたのは、DNAでできた遺
伝子と、20種類のアミノ酸をもつ系統だけだということは、
どの生物も祖先を辿れば同じ「共通祖先」にたどり着く親戚
なのだと言えるのです。

「人類はみな兄弟」どころではありません。

カタツムリも寄生虫も、バクテリアも人間もペンギンも、すべ
てが兄弟だと考えるべきなのです。

生きとし生けるものすべてが兄弟であるとの自覚は、世界へ
向ける私たちのまなざしを確実に和らげるはずです。
そして私たちは、より穏やかな環境整備を希求するようになる
ことでしょう。