『ナノ・スケール生物の世界』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/1/19

サイズを極限まで小さくすると、こうも世界は違って見える
ものでなのしょうか。

『ナノ・スケール生物の世界』
     リチャード・ジョーンズ著 河出書房新社

走査型電子顕微鏡で見る0.000 000 001メートルを
単位とするサイズで展開される生物の世界は、驚くほど
カラフルで、芸術的なまでに造形的です。

バラの葉につくサビ菌の胞子は、著者の言葉を借りれば、
色とりどりの「マシュマロの詰め合わせ」です。

ハエトリグモの主眼は、ふかふかの草のベッドに横たえら
れた鶏の卵のようです。

ホッキョクグマの上毛の断面は上等なバームクーヘンの
肌つやをしていますし、ショウジョウバエが産卵管から
搾り出す卵は、サファイヤよりもあざやかに、青く輝いて
います。

私達が普段気にも留めない雑草や、蛇蝎のごとく嫌う
害虫達も、実はとても豊かで美しい造形美を身に纏って
いるのです。

ページを捲るごとに、これまでナノの世界の生物達の
様子について、実はほとんど知らなかったことに愕然と
してしまいます。

ナノのサイズの生物達が生きている世界は、人間が自覚、
認識している世界よりもはるかに豊饒で、しかも緻密に
組み立てられているようです。

人間が容易に支配し、我が物顔で君臨しているつもりの
世界も、実効支配しているのは、決して捕まえることの
できないナノの世界の生物達なのかもしれません。

大企業の目の届かない細い隙間に息づく、ミクロ企業
であったとしても、堂々と世界に立ち向かい、大きな
影響力を行使することだってできるかもしれないのです。