『里山資本主義』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/1/15

これまで当欄では、筆者の興味のおもむくままに、数多くの
本を紹介し、勝手に推薦してきました。

今日ご紹介する本は、その中でも白眉となると確信しています。

『里山資本主義 ~日本経済は「安心の原理」で動く』
  藻谷浩介・NHK広島取材班著 角川ONEテーマ21

主たる著者である藻谷氏は『デフレの正体』(角川ONEテーマ21)
によって一躍注目を浴びました。

「“生産年齢人口”の変動がバブルやデフレ現象を引き起こして
  いる」

との、統計に基づく主張は説得力がありました。

本書は、原則的に本の執筆をしないという藻谷氏が、信頼する
編集者の説得と、NHKスタッフの熱意に動かされて、ついに執筆
した2冊目の著作です。

最初から最後まで、全てを抜書きしたいほど素晴らしい本書です
が、そうもいきません。
さわりのポイントだけご紹介します。

・「里山資本主義」とは「マネー資本主義」のサブシステムで
ある。

・まずは「エコストーブ」から取り組もう。

・CLTという集成材によって木造高層建築が現実に。

・「懐かしい未来」がキーワード

・目先の利益重視の刹那的行動は、マネー資本主義の先行き不安
 から、日本人が心の奥底で自暴自棄になっていることから来て
 いる。

・「里山資本主義」が不安・不審・不満との決別への切り札になる。

安倍政権以前にあれだけ大声を上げていたリフレ論者が、ここの
ところ少々おとなしくなったような気がしているのは、私だけで
しょうか。

圧倒的な説得力で話題をさらった『デフレの正体』が問題提起編
とすれば、『里山資本主義』は圧倒的な説得力を持った回答編
と言えるでしょう。

藻谷氏は、リフレ論者の主張を「宗教」だと断じ、金融政策頼み
に未来はないと言っています。
しかし、ご本人の意向を別にして、本書によって“藻谷教”の
信者が激増するだろうことは間違いないと思います。

企業の舵とりや個々の生き様まで左右しかねない“宗教書”。
必読です!