日本人には二種類いる | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/1/9

マラソン選手なら谷口浩美さん。
プロ野球選手ならば故津田恒実投手や 西田真二選手。
大相撲なら、横綱旭富士関や大関故北天佑関。

もちろん、いずれも一流のアスリートであったことは間違い
ありませんが、王や長嶋、大鵬や千代の富士といった歴史的
な功績を遺した偉人とは言えません。

そしてイチローやダルビッシュ、貴乃花や白鵬といった下の
世代に比較されても色褪せてしまうのです。

『日本人には二種類いる 1960年の断層』
  岩村暢子著 新潮新書

1960年生まれの人間にとって、同期生のヒーローが他の世代に
比べて見劣りする気がして、少々肩身の狭い思いをしていまし
た。

しかし、本書によれば、1960年生まれこそ、新しい日本人像を
切り開いてきた世代の牽引者なのです。

60年生まれの子供のお母さんたちは、多感な少女だった時に
迎えた終戦を境に、教科書の黒塗りをさせられ、それ以前に
叩き込まれた価値観や中身を全否定された経験を持っています。
ガラガラ変わる教科・教育内容に翻弄された世代です。

そんな母親に育てられた60年生まれ以降の子供たちは、それま
でとは全く違った価値感や教育観に基づいて育てられました。

そして、折しも、高度経済成長や家電製品の普及といった波が
創り出すうねりの先端を生きることとなりました。

核家族、テレビっ子、教育ママ、インスタント食品など、現代
社会の性格を規定するに至る様々な要素の、第一世代となる
こととなったのです。

血液型の本や星占いに書かれていることには共感することが多
いですが、自分とは異なる血液型や星座に記載してあることで
あっても思い当たることがいくつもあるものです。

それに対して本書は、1960年に生まれた人にとってはどれもが
思い当たることばかり。
それ以外の生まれ年の人にとっては、早すぎたり遅すぎたりし
て理解できない部分もある本です。

結局、1960年生まれには突出したヒーローは生まれませんでした。

しかし、団塊の世代には遅すぎて、新人類には早すぎた狭間の
60年生まれの無名の塊が、日本の針路を決定づけたのです。

1960年生まれの方にとっては必読の書なのです。