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2013/7/1

銀座最古の百貨店であった松坂屋銀座店が、きのう6月30日をもって
閉店しました。

2016年8月にはオフィスなども入る約15万平方メートルの複合ビルと
して生まれ変わり、17年度には銀座で最大規模の商業施設が開業す
る予定です。

松坂屋銀座店は関東大震災の翌年の1924年に開業しました。

三越、松屋など、同じ銀座の一等地にある百貨店との戦いには、2,3
万平方メートルと手狭な店舗ということもあって後塵を拝しました
が、ピーク時の90年には540億円を売り上げていました。

しかし、13年の売上高は102億円と、ピーク時の4分の1にまで落ち込
んでしまいました。

2005年3月に開業したエキュート大宮店の売上高が、現在約100億円
ですから、ほぼ同じ水準です。

もっとも、エキュート大宮店の売り場面積は松坂屋銀座店のたった
10分の1でしかありません。
エキナカの坪売上の高さはどこでも群を抜いていますが、彼我の差
はここまできているのです。

バブル期に、百貨店の売上げが絶頂を極めた時代を知っている関係
者にしてみれば、キオスクの親玉にけたぐりを食らったような気が
しているのではないでしょうか。

16年に完成する新しい複合ビルは、地上13階、地下6階で、オフィス
や多目的ホールが入居するほか、屋上には庭園も設けるそうです。
商業施設もテナントとして入りますが、J・フロントリテイリングに
よると、松坂屋が入居するかどうかは決まっていないそうです。

ファッションからアジの開きまで、美術館から屋上遊園地まで、
百貨をすべてわが手で手掛けるというスタイルは今後もやはり難し
いでしょう。

SCに出店しているテナントは、商品カテゴリーを絞り込み、ターゲ
ットを絞り込みして高度に専門性を高めて戦っています。

たとえニッチな限られた市場であっても、シェアの大半を占めるこ
とができれば、市場を自分たちに有利にコントロールして、高い
パフォーマンスを実現していくことも可能だからです。

幸いにも百貨店は、長い信用の蓄積で、あらゆる分野に対して幅広
い上質な取引先や人脈を有しています。

これからは、従来の様に、事業を自ら主体的に行うのではなく、む
しろ場の提供者に徹すればよいのではないでしょうか。

『百貨店』という名前を思い切って捨て、「一貨」を扱う専門企業
を百集める【百貨SC】となって復活してきたならば、銀座最大規模
の商業施設は、日本最大規模の売上を上げる施設となるかもしれま
せん。