2013/5/31
目には見えない さだめの糸と 切るに切れない 血の流れ
所詮この世が 許さぬ恋に あわれ燃え立つ 兄妹~
これは秋美子さんの『女の背信』という曲の一節です。
近親相姦を匂わせる歌詞がとがめられ、放送禁止となりました。
さて、以下の曲はいずれも何らかの理由で放送禁止や自主規制された
ものです。
いかなる理由によるものかお分かりですか?(以下、敬称略)
1 『ブンガチャ節』 北島三郎
あの娘いい娘だ こっち向いておくれ キュキュキュキュー
すねて横むきゃ なおかわい ブンガチャカブンガチャカ~
→「キュキュキュキュー」がベッドのきしむ音を想起させるから。
北島三郎さんのデビュー曲です。
2 a『センチメンタル・ジャーニー』 松本伊代
b『プレイバックpart2』 山口百恵
c『ボーイフレンド』 aiko
→NHKでは特定の企業や商品や個人の宣伝になることは、放送しては
いけません。
aは「伊代はまだ16だから~」が引っかかり、「私はまだ16だから~」
と替えて歌いました。
bは歌詞中の「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤な車」として紅白で
歌われました。
cは歌詞にある「テトラポット」が登録商標だとされて放送禁止と
なっていましたが、後に「テトラポッド」が正式な登録商標と判明
したため放送OKとなりました。
3 『シンキウソウホ』 嘉門達夫
→「ラメカンョチカバ」「チオテタカ」など、放送禁止用語をさかさま
にしたもののやはり駄目でした。
4 a『ジプシー・クイーン』 中森明菜
b『ホネホネ・ロック』 ひらけポンキッキ
→a「ジプシー」は放送禁止用語です。「ジャップ」が駄目なのと同じ
です。
bの歌詞中にある「人喰い酋長」が民族差別との指摘で「ジャングル
酋長」と替えています。
5 『484のブルース』 木立じゅん
→「雁来町484」という番地が、札幌刑務所の住所であるということ、
内容も893(ヤクザ)の世界を歌っていて公序良俗の観点から没に。
6 『あなたとわたし』 朝丘雪路
お家ではきっとやさしいパパなのね~ ~お家にはきっとやさしい
ママがいる~
→不倫を連想させるからまかりならん、とのことです。
7 『イマジン』 ジョン・レノン
→日本の話ではありません。湾岸戦争の時、イギリスの国営放送BBC
で 放送禁止となりました。
理由は・・・書くまでもないでしょう。
士気が下がってしまっては勝利は覚束ないとお偉いさんが判断した
のか、お偉いさんの顔色を窺う誰かが気をまわしたのか・・・。
今となってはバカバカしく思えるものが多い気がします。
しかし、誰かを不当に差別したり、不快な思いをさせたり、特定の者
に偏った利益供与をしないよう配慮すること自体は当然のことです。
当時の関係者はそれこそ大真面目で曲をチェックしていたことでしょう。
放送禁止曲の歴史を辿っていくと、その当時それぞれの立場の人が何
に気を遣い、何をタブーとしてきたかを知る手掛かりとなります。
倫理観も時代と共に揺れ動いていくのでしょう。