ダンシガシンダ | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/11/16

「談志が死んだ(ダンシガシンダ)。俺が死んだらそんな見出しにしろ
よ。」

立川談志さんが生前、語っていた通りの見出しが新聞に大きく出てから、
間もなく1年が経とうとしています。

それが大先輩の師匠であれ有名人であれ、誰彼かまわず歯に衣着せぬ
毒舌でつっかかって世間を狭くすることもありました。
いきなり参議院議員に当選し、沖縄開発政務次官に就任したかと思えば
二日酔いで記者会見に臨んで、公務より酒が大切と開き直って辞任に
追い込まれるなど顰蹙を買うことも多いお騒がせな人ではありました。

しかし、古典落語を自在に操り、全盛期の「芝浜」には凄みを感じさせる
ほどでした。ジャズや洋画、NBA(プロバスケットボール)にも通じ、
多芸多才な人でした。

「落語とは、人間の業の肯定である。」

「酒が人間をダメにするんじゃない。人間はもともとダメだということを
教えてくれるものだ。」

「人間関係は良い誤解か、悪い誤解。」

「怒りは、相手の寛容さに対する誤認」

「賢い奴は何も言わなくても解ってる。馬鹿は言っても解らない。」

「未来とは修正できると思っている過去。」

彼の本領は、こうした鋭い箴言にも発揮されました。

一つ一つの言葉をじっくりと噛みしめてみると、言葉の底には人間への
優しいまなざしと愛情がこもっていることに気付かされます。

「癌は未練の整理にいい。」

不幸にして癌を患ったとしても、この言葉を思い出せば、心が少し静まる
気がします。

「学問とは貧乏人の暇つぶしである。」

若い頃、あまり勉強をしなかったことでコンプレックスを抱えている人も
溜飲を下げられることでしょう。

「努力とは馬鹿に与えた夢である。」

努力をしてこなかったことを現在の不遇と結びつけて落ち込んでいる人への
大きな励ましになるでしょう。

「上品な人とは欲望に対して動作がスローモーな奴である。」

お金が欲しい、いいもの食べたい・・・欲望をあらわに張り切る人は決して
卑しいのではなく、欲望に対する動きがスピーディだと考えればいいのです。

人間の業を肯定し続けた本物の落語家「立川談志」こと松岡克由さんの命日
は11月21日です。

「立川雲黒斎家元勝手居士(たてかわ・うんこくさいいえもと・かってこじ)」

自分でつけた戒名が原因で、いまだに墓地を引き受けてくれるところがない
とのこと、死後もまたお騒がせな談志さんのご冥福は、ファンそれぞれが
“勝手”に祈ればいいんだと、談志さんは天国で吠えているかもしれません。