『(日本人)かっこにっぽんじん』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/11/12

メガネを作り直しました。
実に8年ぶりのことです。

寄る年波か、小さな活字を読むのが多少つらくはなりましたが、
日常生活にそれほど支障は感じていませんでした。
さすがにメガネのツルの部分がいかれてきたので、新調しようと
思い立ったのです。
しかし、検眼してみて驚きました。

8年前には1.2ぐらいに矯正していたはずなのに、0.7です、と言わ
れた今度のレンズの方が、今使っているメガネよりよほどはっきり
見えるのです。
いつの間にか視力は、かなり悪化していたことになります。

毎朝、鏡に映った自分の顔を見ていると、変化には気づきにくい
ものです。
少しずつ白髪が増え、皺が深くなっていくように、視力も少しずつ
衰えていたのでしょう。
8年間の衰えを一気に総括するように目の前に提出されて、やっと、
現在の自分に突き付けられている現実を認識出来たのです。

『(日本人)かっこにっぽんじん』
     橘玲 著  幻冬舎

生まれた時から日本人をやっていると、等身大の日本人とはどんな
ものかとの問いを突きつけられても、答えに窮してしまいます。
海外に出れば、カルチャーショックを受けることもありますが、
観光旅行程度では、日本人に関する認識を完全に更新するまでに至る
ことはまずありません。

東日本大震災と原発事故は、すべての日本人を立ち止まらせ、一個人
として、日本人としてのアイデンティティのありようや覚悟について、
態度を明らかにするよう迫りました。

「自分はふつうの日本人とは違う。」

著者は、転校した小学校でいじめにあって以来ずっと、自分は他人と
は違う、という確信を持ってきました。
そして、サラリーマンや公務員やオヤジやオバさんから構成される
「日本人」の世界に近づかないようにしてきました。
しかし、本書を書き終えたとき、自分こそが典型的な日本人だったと
気づいたのです。

本書は、東日本大震災をきっかけとして著者である橘玲さんが、
(日本人)とは何者かという問いに真剣に取り組んだ良書です。
計381ページと大部の本ではありますが、ぜひお読みいただきたい
お勧めの本です。

読後には、後ろを振り返れば日本人が辿ってきた足跡がくっきり見え、
前を見つめれば、これから日本人が歩んでいくべき未来がクリアに
見通せるようになるでしょう。
視力が1.5に矯正されること請け合いです。