2012/9/4
『聞く力 ～心を開く35のヒント』
阿川佐和子著 文春新書
本書は作家阿川弘之氏の長女であり、エッセイスト、タレントとして
マルチに活躍する才女、阿川佐和子さんのベストセラーです。
阿川さんは週刊文春で20年も続いている人気コーナー『この人に会い
たい』のインタビュワーとして1000人近い有名人との対談をこなして
きました。
能弁な人、訥弁な人。明るい人、照れ屋の人。プライドの高い人、
不機嫌な人。
人気が低迷している政治家婦人、スキャンダルの渦中の芸能人。
個性の強い各界有名人へのインタビューを通じて冷や汗をかきながら
獲得してきた「聞く」という行為を成功に導くコツを披露しています。
例えば・・・
・【段取りを完全に決めない】ことで、思わぬ話が聞き出せたり、先入観
に囚われた予定調和の形式なやり取りに終始しないことができる。
・【自分の話を聞いてほしくない人はいない】のだから、【相手の気持ち
を推し測り】【上っ面な受け答えをしない】ことを心がける。
・【安易に「わかります」と言わない】
・【なぐさめの言葉は2秒後に】
・【知ったかぶりをしない】
「お客様の注文を受ける」「取引先の意向を尋ねる」「意中の彼女の真意
を探る」・・・。
私たちは相手から「聞く」ことで、自分の態度を決め行動を起こしていき
ます。「聞く」ことがうまくいかなければ、お客様からはクレームが発生し、
取引先は失い、彼女にはそっぽを向かれてしまうでしょう。
店舗探し.comもまた同じです。
スタッフは、会員の皆様からのご要望やご希望をまず「聞く」ことから作業
が始まります。
SC物件に求める条件は何か。地域は？種類は？規模は？客層は？
ご自身を取り巻く状況や環境はどうか。業種は？タイミングは？予算措置は？
その他、何か不安に感じていらっしゃることはないか等々、一つ一つ問いを
重ねて聞いていきます。
必要かつ十分な聞き取りを完璧にやれたと思えることは滅多にありません。
まさに聞く“力”が必要だといつも痛感しています。
本書の最後にこんな一節があります。
“感動的な話。涙なくしては聞けない切ない話。勇気を与えてくれるような
清らかな話。手の込んだ可笑しい話。努力と我慢に満ちた話。つくづくダメ
な話。情けない話。
人の話はそれぞれです。無口であろうと多弁であろうと、語り方が下手でも
上手でも、ほんの些細な一言のなかに、聞く者の心に響く言葉が必ず潜んで
いるものです。”
『聞く力』を座右に置いて、会員の皆様の、些細な一言に潜む核心を掴める
よう、精進したいと思います。