需要と供給 | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/8/24

「山奥などの、必然性の無いいらない道路ばかり作っていれば、いつまで
経っても、本当に整備しなければならない未整備の道路が残っているから、
道路建設事業はこれからも長続きするのだ。
ダムは効率の良いところから作っていったから、今となっては、必然性
が低く効率の悪い候補しか残っていないから中止に追い込まれてしまった
のである。」

ある元公務員の言い分を聞いて、妙な感心をしたものです。
確かに、なるべく重要度の低い仕事から手を付けるようにしていれば
肝心のところが一段落するまではその事業を中止にはしにくいものです。

右肩上がりの経済が未来永劫続くものと、無邪気に信じていた時代には、
有力者のごり押しで後回しにされた地域も、次回は余分に予算を配分して
やるとの取引に応じて、鷹揚に順番を譲ったのかもしれません。

日本では、追いかけても追いかけても追いつくことのできない蜃気楼の
ように、やってもやっても終わることのない公共事業を積み重ねてきたの
でしょうか。
しかし、これからは、未完のままの道路やダムの始末を、緊縮を余儀なく
される予算の中からつけていかなければならないのです。

需要があるから供給する。供給するからには需要が見込めなければなら
ない。
すべてのビジネスの原点ではありますが、これをしっかり見極めるのは
やはり難しいことです。
需要の総量を見誤ったり、供給のタイミングがずれてしまえばビジネス
としては成立しません。
公共事業のお手盛り予算とは違って、庶民の財布は容易なことでは開か
ないのです。

消費税の増税は、間違いなしに需要マインドを冷やします。
ただでさえ人口が漸減し、需要が縮小することが常態化するのですから、
より精密な需要予測に基づいた供給プランを作成しなければなりません。
もしくは、旧来のビジネスモデルを思い切って変更して、予約受注への
転換など、余剰の発生しにくいビジネスモデルへシフトすることを考慮
しなければ、今後の需要氷河期を生きしのいでいくことは難しいでしょう。

節電2年目の夏は、オリンピックと高校野球が重なったにも関わらず、
たいして不便を感じることのないままに過ぎ去っていこうとしています。

足りない足りないと大騒ぎしている電力ですが、ひょっとすると何年後か
には、過剰な施設を持て余すほど使用量が減少しているなどということ
があるかもしれないのです。