LIVEメモ(井上道義、大フィル 2024年3月28日 ザ・シンフォニーホール) | IN THE WIND

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昨夜は、今年限りで指揮者を引退する井上道義さんと、かつて首席指揮者を務めた大阪フィルハーモニー交響楽団とのコンサートでザ・シンフォニーホールへ。井上さんの引退に向けたファイナルカウントダウンと銘打ったシリーズで、本来は去年7月に開催予定の第1弾だったが井上さんの病気のためこの日に延期になっていた。プログラムは以下の通り。


座席は2階席右壁の一番奥の角、オケを左斜め後ろから見る角度で、井上さんの表情や動きはよく見えた。いつもの通り大きな動きで、旋律を口ずさんだり管楽器を吹く仕草をしたりと大忙しの表情も豊かにオケをグイグイ引っ張っるかと思えば、手先だけ動かしてオケに任せる風なところもあって、とにかくメリハリが効いた指揮ぶりだった。交響曲の第4楽章のフィナーレに向けたドライブ感というか、グルーヴ感というか、凄まじい推進力は稀有と言っていいほどだった。


ショスタコのPコンは全然知らない曲だったけど、コミカルなテイストを帯びた軽やかなリズムが心地よく、飽くことも眠くなることもなく最後まで聴けた。カーテンコールで小曽根さんは「こんな難しい曲を引き受けて後悔している」と話されていたけど、謙遜が過ぎる。アンコールは小曽根さんのアルバムに収録されているオリジナルのようで、井上さんがこれからどうするのかを思って選んだみたいな話をすると、舞台袖で井上さんが指先で天井を指してさも「天国に行くだけ」みたいな仕草をして観客の笑いを誘っていた。


繰り返しになるけど、今日の圧巻はチャイコフスキーの第4交響曲。第1楽章で金管が若干乱れたのを除けば、僕が聴いたこの曲の生演奏で1、2を争うほど。金管が目立つ曲だし、木管の見せ場も多いけれど、弦の存在感をすごく感じた。僕の席からまっすぐ視線の先にコンマスの崔さんがいて、崔さんのバイオリンから立ち上がる生音が聴こえてくるような錯覚を覚えた。見せ場の第3楽章のピッチカートはもちろんのこと、第2、第3楽章でバイオリンの弱奏の音色もビオラ、チェロの中低音も美しく響いていた。


さらに大フィルでこんなに木管がよかったのは初めてかも。オーボエ、フルート、ファゴットがふくよかで芯のある音色でとってもよかった。ピッコロも限られた第3楽章の出番でキレッキレッの演奏で大いに聴かせた。フルートのトップ奏者がこの日を限りに退団するそうで、カーテンコールで井上さんから紹介されていたら、オーボエのトップ奏者が大泣きしていたよう。長年、右隣でフルート奏者の存在感を感じていただろうか。とにかく、本当によかった。結局言わなかったけど、思わずブラボーを言ってしまいそうだった。


このファイナルカウントダウンシリーズはまだまだ続き、翌々週はサン・サーンスのオルガン交響曲を含む全曲パイプオルガンが登場するプログラムだそうで、カーテンコールで井上さんはオケの事務局長をステージに引っ張り出してチケットの売り込み。「だまされたと思ってぜひ!」と言った口で「僕はだましたことはないけど」とセルフツッコミで大いに沸かせた。僕は日程が合わないので、このシリーズは11月末に予定されている最後の第5弾に行きたいけれど、チケットが取れるのかどうか?

 

【28日の備忘録】
朝=ご飯1膳、ジャコ入り卵焼き、リンゴ、昼=カツカレー。飲酒=赤ワイン4杯。体重=61.4キロ。