読書メモ「原発敗戦」(船橋洋一) | IN THE WIND

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副題は「危機のリーダーシップとは」。福島第一原発事故を題材に、我が国の原発政策や危機管理の問題点を、著者の取材や、先行著作の引用、研究者・関係者との対談によって明らかにしようと試みる一冊。事故の事実関係や、長年の背景を的な説明も大事なことではあるけれど、原発事故のような国家的危機に向き合うリーダーの姿勢はどうあるべきかを探り、提示するのが実は本書の主なテーマではないだろうか。

福島第一原発の事故は、津波によって非常用電源を失い、原子炉、使用済み燃料を冷やすことができなかったために起こった。そうした事態が起きうるということに、国も電力会社も真剣に向き合ってこなかった。いや、本書にも示されているように、冷却用の全電源喪失という事態を想定すべきだという提言はあったが、無視されてきた。本当に起きてしまったら大変な「不都合な想定」は切り捨ててきたというのだ。そういうことを絶対起きませんよ、ということで住民を安心させるとともに、原発推進派自身も安心しようとしたのだろう。

そういう現実から目をそむけた無責任な姿勢は、昭和の戦争指導者と同じだ、と度々指摘されてきた。本書のタイトルもその延長線上だろうし、本書でも同様の指摘はある。著者はさらに踏み込んで、失敗の原因を文化論(日本人論)的な方向に求めようとすることは、 「失敗から学ぶ」上で逆効果 として次のように警鐘を鳴らす。

どこの誰が、どの組織のどこが、どういう状況の下、構造の中、どのような判断と計算によって取った行動が、どのような結果をもたらすか。そこを一つ一つ、科学的に調査・検証することが不可欠である。その解を国民文化に丸ごと投げ込んではならない。(文春新書)

【5日の備忘録】
朝=ご飯1膳、子持ちシシャモ、みそ汁、昼=たけのこご飯、シューマイ、夜=焼き肉(外食)。飲酒=生ビール2杯、缶ビール2本。体重=65.3キロ。