定休日明けいつものように豊洲市場&築地場外市場に仕入れに向かっている僕でありますが、今日は雨が降る事必至の状況なので仕方なく傘を持って自宅を出ました
できることならこの傘を開くことなく帰れたらいいんですけどね。少なくともずぶ濡れにならないように帰宅したいと思います
さて、今日のブログは一昨日の続きであります。
タイトルは『THE SHUGYO 』
料理人を目指す者が必要不可欠、避けて通れないのが【修業】だと思います
希に修業経験無しでいっぱしの料理人になったという人もいなくはありませんが、そういう方は余程の天才か、自らをきっちり追い込める努力の人あるいは勉強家ではないでしょうか?
それ以外の人はやはりある程度しっかりとした所(修業先)できっちりと学ばなければ良い料理人にはなれないんじゃないですかね?
修業はいつの時代も生半可なものではなく厳しいものだと思いますが、昔は本当に厳しいものでした
休みという休みは年に1~2度のお正月休みやお盆休みの数日間のもので、普通の定休日は「普段やれない仕事をする日だぞ」と僕は教えられました
今の時代なら完璧にアウト
そんな事を言おうものならしかるべき施設に訴えられてしまいます
しかしながら、自分がどこまでのレベルの料理人を目指すかにもよりますが、少々の苦労はした方がいいと思いますし、人生必ず良いことばかりではないので、精神的に強くなるためにもある程度大変なところで揉まれた方が自らのためになるんじゃないかなぁ…と僕は思いますね
厳しいお店での修業は、時に「こんなの料理に関係あるのか?」なんて思うこともやらなければいけない場合もあります。全てがそうだとは言いませんが、僕の経験上そういった直接料理に関係ないことでもやっておいて良かったなと思うこともあるんですよね
むしろ料理以外で学んだの事の方が後々役立ったなんて事もあるんじゃないかな
特に先々独立を目指す人は嫌なことでも進んでやるくらいの方がいいんじゃないでしょうか?
まぁ、それは今だから言えることで、当時は僕も嫌で嫌で仕方がなかったですし、逃げ出したくなった事も1度や2度どころか10回や20回は普通にありました
でも、なんとか踏みとどまったからこそ今があると思うんですよね
なので、今現在辛く厳しい修業中の人は、毎日滅入るような大変な中でも長い人生の中では一時の事と思って頑張って欲しいと思います
ただ、そんな事を言っている僕が毎年これだけは本当に嫌と思うものがこちら…
この時期だけ出回る実山椒
そんな下処理はいたって簡単。青い(緑の)粒々を細かな枝から外すだけのとっても単純作業です
とても単純なんですけどそれがとてつもなく大変で辛い作業なんですよね
この作業だけは修業というより修行だと思います
「料理は作った人の心が表れるから、下処理や仕込みの時からしっかりと心を込めてやらなければいけない」と常々言っている僕でも、この仕事だけは嫌々で「早く終われ!早く終われ!」と思って作業をしています
ぶっちゃけ心なんていちいち込めていられませんから、もう“無の状態”でプチプチと必死にやっていますね
かつての同僚でこの実山椒をばらす作業が大好きなド変態がいましたが、本当に信じられませんでした
毎年言っている事ですが、生産者側でお米の脱穀機のようなものを開発してもらって、この実山椒をばらす下処理をしてくれていたら2~3割増しでも僕は買うでしょう
それくらい大嫌いな作業ですが、僅かな時期しか出回らず、どうしても必要なものなので正直嫌々ながら今年も仕入れてきて作業を始めています
ちなみに写真は先週末に仕入れてきた物です。
今年は比較的早い段階で粒も大きくなっていて質も良さそうですね
今までは予約が少なそうな日にまとめて数箱仕入れて、一気に皆の手を借りて作業していましたが、今年はありがたいことにまずまずまんべんなくご予約をいただいているので、1箱ずつ仕入れて地道に作業をこなしていきたいと思います
実山椒をばらすこの作業は、僕が料理人を続けている間はおそらくずっと続く“修行”ではないかと思っています
今年もしばらくの間頑張りたいと思います