小説【夢みるメタボリック】第4話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

ただいまも言わず、玄関の扉をあける。


マンションの外廊下の光が、三郎の影を入室させた。


リビングに到着すると、ようやく電灯スイッチを押した。


三郎は、分かってはいたが、誰もいないことに安堵した。


妻は実家に帰っているし、娘は高校卒業後、独立していった。


それでも、我が家に居心地の悪さを覚える。



靴でも買って、妻を迎えにいくなど、
到底できそうにもない。



ボタンの掛け違えを直す作業は途方もないことに感じられた。



コンビニ弁当をほおばりながら、今日の出来事を反芻した。



自殺を考えていたのに、若い女性とのデートにときめくなんて、
つくづくいい加減な人間だと思う。



瞳は食事の誘いを快諾してくれた。


今、空腹を満たすため弁当を食べているのは、
来週の瞳との食事のためである。


別居している妻の印が押された離婚届が手元にある今、
罪悪感はなかった。


だが一喜一憂しなければ生きていけない自分のレールにあらためて嫌気を覚えた。




それでも、私は生きている。




人生については、来週が終わってから考えよう。



三郎はそう決めたが、その夜は寝付けなかった。




(つづく)