オリジナルシューズ 8回目 | 天神山メンズスタイル

天神山メンズスタイル

天神山は、手抜きをしない本物の洋服を作り続けて40年、長く愛着を持ってお付き合いできる、時代に左右されない洗練された普遍のモデル、こだわりの正統派スタイルを提案し続けています。
京浜急行青物横丁駅より徒歩2分、赤煉瓦の建物です。
東京都品川区南品川5-8-21

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今回は、前回予告していたお客様の出来上がりをお借りしての新作モデル「Uチップ+ウイング飾り」の紹介です。

今週は先週以上に蒸し暑さが増し、夜は熱帯夜で寝苦しく日中は曇っていても30度を越えるなど不快指数が高い毎日が続いている中で、サラサラの麻シャツが手放せない真夏用のこだわりの着こなしとは言えないスタイルがメインになってきました。

この靴をオーダーされた方は、出来上がりの洋服でも沢山お借りして協力していただいていますが、「天神山オリジナルシューズ」は今回が初挑戦で、以前より店頭に並んでいる私達の靴を見ながら作りたいと依頼を受けていた、「SILVANO LATTANZI」(シルヴァノ ラッタンジ)製の「信濃屋」が日本で一番最初(1986年)にラッタンジに注文をした思い出深いモデルの「ANTIQUE」(アンティーク)(http://blogs.yahoo.co.jp/ginza645/48169705.html)をベースに、外側と内側の張り出したコバから角度のある削りからのベベルトウエストの絞りを強くして、前回のフルブローグと同じで、コバ&ソールは木地仕上げに生成りのコバスッテッチと真鍮の外鳩目を付けて、色のバランスを合わせた仕上がりにしました。

この靴の完成までの経緯を話すとちょっと長くなりますが、
1年前の7月に靴職人との出会いから、オリジナルとして依頼する靴をイメージしやすいように、店頭に並べてある靴を見に来てもらい「古いアメリカ靴」を参考に細かいバランスや仕様など説明している中で、この「アンティーク」モデルを見せた時に職人がこのタイプは難しいとすぐに言われたので、オリジナルでの作製は無理と諦めていたのですが、サイズやモデルのサンプルを作りながらオーダーを受けながら微調整を加え出来上がる度に良くなっていく仕上がり具合を感じながら、前回紹介の新モデル「Uチップ」の作製がきっかけになりもう一度依頼してみたら、割増料金でなんとかやってみると言うことで作製して貰うことにしました。

「天神山オリジナルシューズ」の特徴の一つで、甲の縫い目を手間のかかる「リボルターテ」(革の切り目を薄く梳いて内側に織り込んで縫う)仕様が、このモデルはレースの脇飾りまで数えると4重になっていて、製甲から底付けまでの工程を一つの工房で手掛ける靴職人の生れ持った技術とセンスがなければ完成できない、まさに工芸品と言える出来映えは、毎回ながら感心させられっぱなしです。

私自身がオリジナルシューズを試し始めて半年が過ぎ30回以上は履いていますが、履き始めから現在に至るまで体調による足の変化に対応しながらの馴染み具合や履き心地の良さは、今までに味わったことのない九分半仕立ての「ハンドソーンウェルテッド製法」ならではのフィット感で、考えてみたら私が何足か持っている「シルヴァノ ラッタンジ」はハンドソーンウェルテッド製法ですが、イタリア製特有の硬い仕上げの影響か、既製品だったのでサイズが合っていなかったのか、それぞれにムラがありフィット感を味わうと言うよりも妥協して履いているのが現状で、オリジナルが自分の足にあまりにも合っている為にラスト(木型)とサイズ合わせの重要性を改めて感じさせられました。

前回靴工房へ訪問した時に確認したのですが、他では扱っていないだろうと思われる厚くてしっかりとした良質の革のインソール(中底)を使用し、手で一針一針細かく縫われているため、壊れにくく耐久性に優れ、履く人その足の形に応じて適度に締まり、また部位によってはゆるみが出るなどハンドソーンならではの仕様と、足の指に当たる部分のライニングは馴染みがいい良質の革を使用しているなど、他では味わえない独特の履き心地になるのではないでしょうか。

この靴をご覧になられた他のお客様に、“より立体的になったね”と言われて気付いたのですが、弊店がメインで扱っている洋服のパターン・オーダーの「ハンドメイド仕様」の特徴として紹介している、体に馴染み易くさらに柔らかさと立体感が増すのと同じで、上質な素材を使って職人の気持ちの入った手間のかかるモノつくりは出来映えにハッキリ差が出てくるものだと思っています。



7月は洋服の端境期にあたるので、オリジナルシューズのお試しキャンペーンを実施いたします。
と言いながら、秋冬のおすすめサンプルが今週から出来上がってきて、そろそろ秋冬物のスタートです。