● 赤心商売。 | たいやき社長、書く。

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今日は、「初めてなんだけど」と言いながらお客様が入ってこられたので、「ああ、初めてですか、こちらがお品書きでございます、ご覧くださいませ」とご案内したところ、

「ええ、こんなにするの。」と、お客様が思っていた値段よりも高かったようなので、私は笑顔で、即座に、「そうなんですよ、高いですよね。いえ、無理にはすすめませんのでご安心ください、では、入ってしまった手前、出づらいでしょうから、お見送りさせていただきますよ。」と、お帰りいただこうとしました。

私は、お客様が、本当に欲しいと思ったもののみをご提供したいので、お客様のためを思って、まごごろでもって、「売らない」ことにしたのです。しかし、そうしましたところ、お客様が、「いや、ちょっと待って。よく考えてみたら、どこでもこのくらいの値段はするわよね。じゃあ、2個なんだけど、いいかしら。」と、ご注文くださったので、私は、「もちろんです、喜んで」と承りました。

これで、もし、私が、「このくらいの値段が普通かと思いますよ。いかがですか。」と、お客様に買わせる方向に持っていったら、おそらく、お客様は、「いや、こんなにするとは思わなかったから、いらないわ。ごめんなさいね」と、帰られていたと思います。

そして、焼き時間の間に、ちょっとした会話をしたところ、私のことを気に入っていただけたようで、帰りには、入ってきた時の顔が〝 幻 ″ だったかのように、満面の笑顔で、「どうも、ありがとう。また来るわね」と、気持ちよく出ていかれました。

とりわけ、営業マンや、セールスマン、ノルマのある立場の人は、「とにかく、売れればよい」「何としてでも売りたい」というのが普通でしょう。しかし、そのような心持ちでは、たとえ、その場では売上に結びついたとしても、それは、「自分のために」売っているわけですから、お客様との「長いおつきあい」には発展しないでしょう。その場かぎりの関係が関の山です。

しかし、反対に、「お客様のために」売ろうとする場合、お客様が心から求めいるものではなかったり、お客様のためにならないと判断した場合、あえて「売らない」ことによって、お客様からの信頼を得ることにつながり、たとえ、その場では売上に結びつかなくとも、「本気で買うときは、この人からにしよう」と、「長いおつきあい」へと発展し、結果的には売上が上がるということは、往々にしてあるわけです。

やはり、大切なことは、一点、「これは、本当に、お客様のためになるか」という、お客様を思いやる、飾りのないまごころ、すなわち、「赤心」で臨むということでしょう。

たとえば、コンビニエンスストアなどでも、「先入れ先出し」といって、先に仕入れたものから売っていくために、後から届いた新鮮なものは、後ろにやって、先に届いたものを前に出すというのが常識でしたが、最近は、「後入れ先出し」をするお店が人気を得られるということが分かってきたそうで、多くの店が取り入れているようです。

言われてみますと、繁盛しているコンビニへゆくと、期限切れ間近の品のみが、数点残っているのみで、あとは見事に売り切れているという状態のような気がします。

古い商品を後ろへやって、新しい商品を前に出すというのは、ロスも出やすいので、一見、損なやり方ですが、「お客様のため」を想うならば、古いものを前に出して、新しいものを後ろに隠すようなやり方は、やはり、良心・至誠、まごころに反しており、「赤心商売」ではないといえるでしょう。

たとえば、おにぎりを買おうとした時に、店員が、「お客様、こちらの方が新鮮ですので、こちらをどうぞ」と、より新しいものを、よりよいものを出してくれたら、「また来よう」と、リピーターや、ファンになってくれるでしょう。誰もがそのような店で買い物をしたいですし、誰もがそのような「赤心商売」をしている店や企業を求めるはずです。

したがいまして、「自分の利益」ではなく、「相手の利益・お客様の利益」を第一に考えることによって、結局最後は、自分たちが得するわけです。経営学も、日々、変化しておりますが、何におきましても、自分の利益よりも、お客様の利益を優先するという心がけ・精神は、いつの時代にも変わることない、万能で、不変の「成功の要諦」であるといえるでしょう。このようなことを知っておく必要があると思います。

  
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