それはまた、新たな戦いの始まりであった | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

     (『人間革命』第11巻より編集)    

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         〈大阪〉 39 完

 

 戸田は、ここで質問会を打ち切った。そして、席に戻りがけたが、またマイクに顔を近づけた。

 

 「あとのことは、もう心配しなくてよいから、しっかり題目をあげて、皆さんが幸福になることです。それが、私の願望の根本です」

 

 温かい一言であった。参加者は、戸田の慈愛に、ほのぼのとした思いをいだきながら、声高く学会を合唱した。

 

 この日、若獅子は再び野に放たれ、さっそうと民衆の広野を走り始めたのである。

 

 それはまた、新たな戦いの始まりであった。

 

 ・・・。

 

 

 しかし、担当の弁護士たちは、「これだけ完全に、つじつまの合った供述調書がそろってしまえば、いくら強要された虚偽の供述であっても、全てを覆すことは、かなり難しい」と言うのである。

 

 伸一の征路には、けわしい試練の峰が連なり、深い霧が立ち込めていたといってよい。

 

 しかし、進まなければならなかった。

 

 仏法の法理と、学会の正義の証明のために、また、民衆の凱歌のためにもー 。

 

 彼は、怒涛のごとき不運にされされながら、シャトー・ディフの闇牢で、無実を晴らすために戦い抜いた巌窟王のように、最後の勝利を深く心に期した

 

 伸一は、『モンテ・クリスト伯』(巌窟王)の言葉を思い起こしていた。

 

 

 ー 待て、しかし希望を忘れな。