(『人間革命』第11巻より編集)
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〈夕張〉 7
最後に、この大会の実行責任者・山本室長の登壇となった。
伸一には、この時、大阪府警の黒い影が迫っていた。
彼も、それを知らされ、緊張の極にあった。しかし、横溢する伸一の生命力に、聴衆は、誰一人として、そのことに気がつかなかった。
彼の心の底では、怒涛が逆巻いていたが、伸一は、力強く叫んだ。
「炭労が、どんなに叫んでも、わが創価学会は日本の潮であり、その叫びは師子王の叫びであると信じます」
そして、彼は創価学会の使命に言及した。
「資本家も、また、労働者においても、悩める人は数知れない。その人びとに、大功徳増しますこの御本尊をご紹介申し上げるのが、学会の使命なのであります」
彼は、”主題はこれで決まった”と思った。すると、彼の胸にわだかまるものは、一切、消えて、熱鉄のような闘魂がほとばしりだした。
「日蓮大聖人は仰せであります。『天晴れぬれば、地明らかなり。法華を識る者は世法を得べきか』と。
『天晴れぬれば』とは 『法華を識る』ことであります。また『地明らかなり』とは『世法を得べきか』となり、世法に通達することです。
つまり、信心を根本にして自分の商売、事業を改良したり、思索し、工夫して、立派に事業を発展させ、境涯を高めていくことー これが大聖人様の御指南であり、学会の指導原理なのです。
したがって、組合に対しても、信心即生活、即仕事、即労働組合。これが学会の正しい在り方、指導であります。
しかるに炭労の方は、少しも理解しようとしない。広宣流布に進む学会を阻む炭労の姿は、仏法の眼から見るならば、
悪鬼入其身(あっきにゅうごしん:悪鬼が衆生の身に入り、正法を護持する者をののしったりする)であり、仏法の法理に照らせば、諸天善神の治罰を被るものと信じます」