(『人間革命』第11巻より編集)
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〈波瀾〉 11
「炭鉱の人たちが、自分たちの生活や職業を守るために立ち上がるというなら、その闘争に、私自身も旗を持って応援しますよ。
そうじゃなくて、うちを排斥しようとする。見当違いではないですか。
目的も使命も違い、それぞれの拠って立つところの違うのだから、互いに干渉しなければならないことなど、ないはずです」
「しかし、組合の大会で、活動方針として戦うことを決議したとなると、これは、もう対決ですね」
「対立するというのが、そもそもおかしなことです。
炭労のなかには、うちの会員も多い。だから、かわいがってもらいたいのだが、いじめられたんでは困りますよ。
組合の指導者が、組合員の信仰まで左右しようとするのは、誰が考えてもおかしい。
人権問題です。組合の指導者が、早くこの点に気がついてほしいと思いますがね」
炭労の問題が、社会の表面に浮上し始めてから数日後に、今度は、大阪の新聞各紙に、またまた創価学会に関する衝撃的な記事が載り、そのことを知った全国の会員は、愕然とした。
五月二十二日の大阪方面の夕刊の記事である。
ー大阪府警は、四月の参議院大阪地方区補欠選挙で、投票日の前日、創価学会が推薦していた候補・尾山辰造の氏名を書き込んだタバコや、
名刺を張り付けた百円札が、何者かによってばらまかれた事件を調べていたが、容疑者として学会員四人を逮捕、一人を任意出頭で取り調べ、逃走中の一人を追及中ー というのである。
そして、逃走中の学会地区部長・大村昌人と、既に逮捕されている一人が、飛行機で大阪に乗り込み、汽車で来た会員三十人と、
タバコと百円札を、投票日の前日の朝、・・・さらに、夕刻には、北大阪などで軒並み百円札をばらまき、同夜、東京に引き揚げたーと報じていた。