(『人間革命』第11巻より編集)
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〈波瀾〉 8
戸田城聖は、この日、場内外の三万一千余人の聴衆を前に、折伏の要諦を語って、何を、いかになすべきかを教えた。
組座談会が、地に着いて行われ、折伏も軌道に乗っただけに、今後、誤りなく、さらに飛躍的な前進を期すために、折伏の根本精神を確認する必要性を、痛感したからである。
戸田城聖は、五月十二日には、北海道に飛んでいた。これは、四月七日の関西総支部総会、・・・第一回九州総会に続いて行われた、第一回北海道総会に出席するためであった。
北海道も、小樽問答以後、大きく躍進し、・・・ 。
この日、全道各地から、約二万三千人の会員が、札幌市・中島スポーツセンターに結集し、北海道総会が行われたのである。
言うまでもなく、北海道は、戸田城聖が幼少期から青春時代を過ごし、また、初代会長・牧口常三郎が青春の思い出を刻んだ地である。
会員の多くは、入会して、まだ二年に満たなかった。
戸田は、その新しき同志に、親しみを込めて、「本当の個人の幸福というものは、政治の力だけでつくれるものではない。
正しい信心なくしては、個人の幸福はつくれない」と語り始めた。
そして、六年前に彼が指導した、東北地方の一人の青年が、五年後には地区部長になり、功徳にあふれた生活になっていたという体験を、ユーモアを交えて紹介していった。
「さぁ! そこだ。五年ですよ。五年でそうなったんだ。
女房と喧嘩ばかりやっていた、金がなかったばかりに女房を離縁しようとまで考えていた、その男が、新調の洋服を着て、地区部長になって、総会で開会の辞までやっている。
驚きましたな、これは。 面白いだろう。あなたたちも、仏の種を心田に植えているんですから、五年ぐらい我慢して、ちゃんと信心しなさいよ。
(つづく)