(『人間革命』第11巻より編集)
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〈波瀾〉 2
一月は慌ただしく過ぎ、二十八日、本部幹部会となった。
折伏は、三万に迫り、組織の最前線が、活性化しているためであった。
戸田城聖は、その好調な広宣流布の伸展を喜びながら、信心の本来の姿は、楽しい信・行・学にあることを教えていった。
「今年は、楽しく信心して、楽しく折伏して、楽しく教学を勉強していってもらいたい。これが、今年の私の根本的な念願であります」
一月下旬に、全国七都市で、教学部の試験が行われた。
これで、創価学会の教学部は、・・・となり、盤石な布陣が着々と築かれていった。
さらに堅実な発展を物語るものに、二月の折伏が、三万を優に超えたことがあげられる。
戸田城聖は、この着実な発展を阻害するものが、外部からでなく、実は内部にあるということを戒めとし、本部幹部会の席上で懇切に説いた。
このころ、会員間の金銭貸借から、人間関係がこじれて、互いに信心を見失い、時に地獄の苦しみに陥るケースが、見かけられたからである。
「世の中は、”金と権力”だといわれる。ですから、貸借問題が起こる。”金を貸してはいけません”とは、絶対、言いません。
ただ問題は、創価学会の地区部長とか、班長とかという地位を使って、金を借りたり、権力を振り回してはいけないと私は言うんです。
『俺は、地区部長だ。金が要るから貸せ』。そんな生意気なことがありますか。
学会の地位を使っての金銭の貸借は、断じていかん。学会の地位を使って、権力を振り回してはいかん。
学会の組織を利用するようなことがあってはならん。創価学会は、信心一途にいくものだと、私は考えるが、どうですか。
私には、権力もありません。創価学会の会長として、皆様に奉ってもらってみても、なにも偉くありません。
会長が偉くないというのだから、支部長でも、地区部長でも、同じく偉くないと思うんです」