師弟で紡ぐ関西の錦秋城 | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

     (『人間革命』第10巻より編集)

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         〈脈動〉 6

 

 伸一は、東京にあって、その日、その日の報告を受けていたが、戸田の疲労を思いつつも、関西の愛する会員の幸せを思った。

 

 戸田が、九日、空路で帰京することを知ると、彼はじっとしてはいられなくなって羽田に駆けつけ、戸田の一行を迎えた

 

 タラップを下りてくる戸田は、意外に元気な姿を現した。

 

 「伸、私も奮闘してきたよ。もうひと息、ふた息だな」

 

 今、関西に戸田の信心の脈動が、じかに伝わり始めていることを、伸一は感じた。

 

 もうひと息、ふた息は、伸一のなすべき責任として担うことを決意した。

 

 関西の地は、彼の青春の歴史にとって、天王山ともいうべき位置になりつつあった。

 

 彼の頭脳を、もはや関西が占領したのである。

 

 この夜、彼に一首の和歌が生まれた。

 

 関西に

  今築きゆく

    錦秋城

  永遠(とわ)に崩れぬ

    魔軍抑えて

 

 二日後の二月十一日は、戸田城聖の誕生日で、満五十六歳を迎える日であった。

 

 関西に永遠に崩れぬ錦秋城を構築、これをもって師の恩に応えようとする伸一は、この一首を、誕生日の祝いの言葉として、戸田に献じた

 

 戸田は、メガネを外し、紙片に額をすりつけるようにして和歌を読んだ。微笑が頬に浮かび、にこやかな眼差しで伸一を見た。

 

 そして、彼は、ペンを手にしながら、一瞬、思いめぐらしていたかと思うと、さらさらと、その紙片に続けて、一気呵成に認めた

 

 我が弟子が

   折伏行で

     築きたる

  錦秋城を

    仰ぐうれしさ

 

 戸田は、伸一の力闘が何より嬉しかった。

 

 

 

 

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