(『人間革命』第2巻より編集)
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〈前哨戦〉1
学会の青年たちは、宗教の浅深、学会の使命、日本の将来を救済しようとする戸田の理念を、情熱を込めて語り合った。
先年たちが、もっと驚いたことがある。それは既成宗教の僧侶や幹部に、個人的に会って折伏すると、宗教に関して専門家であるべき彼らが、宗教や、その教義、哲学については、全く理解していないということであった。
世界宗教と言われるものは、普遍的な理念をもち、人類の未来を照らそうとする崇高な理想を説き、それを実現するための使命感を訴えている。
ある外国人の記者は、あきれたように言った。
「全く驚いた。日本は、宗教のデパートだ」
彼らは、破邪顕正の思いから、道場破りにも似た行動に、自らを駆り立てていったのである。
戸田は、人間の力に大差がないことを知っていた。非凡であれ、平凡であれ、その差は本質的なものではない。
指導と訓練によっては、誰もがもつ才能と力を、十分発揮できると考えていたのである。
彼ら青年は、翌日、法華経講義に出席後、皆の前で、昨日の法論の報告をした。
ただ一人、戸田城聖だけは、険しい表情になっていた。
戸田は、急に厳しい顔を上げた。そして、すかさず激怒した口調で叫んだ。
「昨日、一緒に参加した者は、立ちたまえ!」