一個の人間の根本的問題の解決 | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

(『人間革命』第2巻より編集)

      28

     〈光と影〉 8 完

 

 戸田城聖は、二月二日、夜の法華経講義の後、質問に答えて言った。

 「要するに、医者で治るような病気は、医者で治せばいいのだ。しかし、医者で治らない病気、これが人生の難問です。

 だが、いくら難問でも、これを解決できる法がある。

 絶対に治すことができる、と言ったらどうだろう」

 

 戸田の話は続いた。

 「ところが、どうしても解決できない、重大問題がある。

 そういう問題を人は諦めてしまう。

 だが、よく考えてみると、人間の宿業をはじめとして、解決できない問題の方が、意外に多いものだ。

 

 社会や、また大衆といっても、あるいは労使と分けても、所詮は一個の人間から始まって、その集団にすぎない。

 

 ゆえに、この一個の人間の問題を根本的に解決し、さらに全体を解決できる法が大事になってくる。

 

 それは、真実の大宗教による以外にないんです。

 

 今回のゼネストのようなことも、どうやっても、こうやっても、だめだとわかった時、やっと、大聖人様の仏法のすごさというものが、しみじみと、わかってくるにちがいない。

 深刻なる理解をしないでは、いられなくなる。

 その時が、広宣流布です。

 

 われわれの戦いは、今、こうしてコツコツやっているが、すごい時代が来るんだよ。ゼネストなんか、われわれの広布の戦いから見れば、小さな小さな戦いであったとわかる時が、きっと来る」

 

 西神田の二階は、薄暗かった。厳冬の電力不足が原因である。

 そのなかで、戸田城聖の声は、生き生きとしていた。

 そこには、暗い必死の面影はなく、明るい希望の表情があった。

 

 かくて、敗戦の暗影が、いまだ色濃い時代のなかで、一条の光明にも似た広宣流布への指標が、一つ一つ示されていった。

 彼には、民族の柱としての不抜(ふばつ)な確信が、心中深く秘められていたのである。