(『人間革命』第2巻より編集)
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〈序曲〉 2
多大な犠牲を払って、世界大戦が終結したが、地球上には、新たなた対立と不信が、広がろうとしている。
既存の、あらゆる主義、思想を、人間という根本の次元から、人類の平和と幸福へリードしゆく、新しい理念は、日蓮大聖人の仏法の哲理から生まれるにちがいない。
広宣流布とは、まさしく、永遠の平和を地上に具現(ぐげん)することであり、それは、仏法の慈悲と平和の哲理が、人びとの精神の大地に、深く打ち立てられていくところから達成されるのだー 。
今、地球上の一角にある日本国に、戦争放棄、平和主義を掲げた憲法が、忽然(こつぜん)と現出したことが、戸田城聖には、不思議に思えてならなかった。
彼は、思った。いや強く確信した。
”広宣流布が、まず、この国に実現できるという証拠なのだ!
それにしても、これに気づいている人は、ほかに誰もいない。話しても、信じようとしないだろう・・・。
戸田城聖は、眠ることができず、寝床の上で何度も寝返りを打った。
そして、わが胸に手を当て、深い吐息をついた。
彼は、近くに迫った恩師・牧口常三郎の三回忌法要と、戦後第一回の総会の開催に、心を砕き始めた。