仕事柄、PCはMS DOSの頃から使ってきたが、スマホについては子供の高価なオモチャくらいに思っていた。まさかこんなカマボコ板が天下を取るとは想像もしなかった。娘からは原始人扱いされたが、私は頑としてガラ携しか使わなかった。
これはもうアカンと観念したのは、商売の決済で使うネットバンキングで、認証のためにスマホが必須となった時だ。スマホを使えないと、今まで通り銀行までいちいち出向かなければならなくなる。
きっとたくさんの高齢者と同じ身の上と思うが、私も娘に教えを乞う羽目に陥った。LINEも含め、基本的な設定は全部娘がしてくれた。ところが、いざ自分がこのカマボコ板を操作する段になって、私はたちまち癇癪を連発した。
私:何だ、このゴチャゴチャしたインターフェイスは!視力検査表か何かか!見えないだろ!
娘:もともと本体が小さいんだから、仕方ないでしょ。
私:こんなちっこいキーボードをどうやって叩けってんだ!指がはみ出る!
娘:だから~、もともと本体が小さいと。
私:(タッチパネルが)反応しないだろ、これ!もう故障したのか。
娘:指が乾いてるからと思うよ。息を吹きかけてみたら?
私:水気がないってか?人をミイラみたいに言うな。俺はまだ生きてる。
娘:・・・・・
事あるごとに私は娘に文句を言い、いつも素っ気なくいなされた。
「PCに比べて不便すぎる!」と言うと、
「PCもノートパソコンもiPadもポケットに入らないでしょ?」と返される。
その通りなので、反論のしようがない。
結果として、私はスマホをマスターしたか?
Noだ。ミイラ指のせいで、相変わらずタッチパネルがうまく反応しない。うっかり長押ししてしまう。スライドしたら全く別の画面が飛び出して来る。どうしてもうまく行かない時は、思いっきり床に叩きつけたい衝動を抑え、とぼとぼとPCデスクの前に行って座る。
無論、高齢者の中にも器用に使いこなしている方は多いだろう。私の姉も友人Bもそのクチだ。指の動きが私と違って格段に素早い。私の知らない色々な機能も使いこなしているようだ。
きっと指が細いのだろう。