島育ちの仲良し小学生四人組。あの日「ゆーちゅーばー」に
なることを夢見た僕らの末路は‥(「#拡散希望」)。
マッチングアプリでパパ活。リモート飲み会と三角関係。
中学受験と家庭教師。精子提供と殺人鬼。日常に潜む「何か
がおかしい」。その違和感にあなたは気づくことができるか。
新時代のミステリの旗手による、どんでん返しの五進撃。日
本推理作家協会受賞作を含む、傑作短編集。ー裏表紙よりー
5編、すべて攻めてるなあというのが率直な感想。
この作家さんはじめましてなのでどんな作風か全くわからず
読み始めたのですが1編目の「惨者面談」でまず度肝を抜か
れました。
家庭教師会社の営業を務める大学生の主人公が、家庭教師を
要望してきた家に訪ねていきますが、そこで会った親子の様
子が変なのです。
なんとなく母親と息子がよそよそしいというか、まるで話が
嚙み合わないというか‥。
いろいろ伏線が張り巡らされているので、最後に真相がわか
ったときに、そういうことだったのかと腑に落ちました。
この1編目でへえ、そうきたかと深く感心してしまいました。
5編目の「#拡散希望」もちょっと普通では考え付かないよ
うな仕掛けになっていました。
え、え、え、とこれもあり得ないと思うのと同時に時代はま
さしくこれぐらい進んでいるのかもねと思ったりもしました。
この「#拡散希望」も伏線の張り方がお見事でした。
他3編「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」はちょっとや
り過ぎの感も。
「パンドラ」は少し話が読めてしまうところがあるのと、主
人公夫婦にあまり共感できませんでしたが、なかなか面白い
短編集でした。 ★★★