ザ・ロイヤルファミリー | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

 お前に一つだけ伝えておく。絶対に俺を裏切るなー。

 父を亡くし、空虚な心を持て余した税理士の栗須栄治はビギ

ナーズラックで当てた馬券を縁に、人材派遣会社「ロイヤルヒュ

ーマン」のワンマン社長・山王耕造の秘書として働くことに。

 競馬に熱中し、<ロイヤル>の名を冠した馬の勝利を求める山

王と共に有馬記念を目指し‥‥。

 馬主一家の波瀾に満ちた20年間を描く長編。

                     ー裏表紙よりー

 

 

 

 私の父は競馬ファンでした。千円とか2千円とか掛けてごくご

くたまーに当たっていたようでした。

 私はと言えば競馬には全く興味もないのに何故この本を手に取

ったのか自分でもわからなかったのですが、結論を言えばこの本

すごくよかったです。

 まず、栗須と山王耕造の出会いからよかった。山王耕造は会社

が上手くいっているのをよいことに馬主となって競馬に現を抜か

しているワンマン経営者。ワンマンが故に人が離れていきます。

「絶対に俺を裏切るな」というのはその表れです。

 山王耕造がどれだけワンマンで嫌な奴なのかと思いながら読み

ましたが、私から見れば山王耕造は口が悪く表現が下手くそなだ

けで、決して情がない人間でも悪い人間でもありません。

 山王耕造には妻と男女1人ずつの子どもがいます。家族は競馬

はキライですが、目をつぶっているという状況です。

 途中、山王耕造に隠し子がいることが発覚します。それによっ

て家庭は崩壊し離婚ということになります。

 隠し子の耕一は高校生で母を亡くし大学生のときに祖母も亡く

します。

 耕一は山王耕造が父とは知らず育ちましたが、競馬に興味を持

ち大学の競馬同好会に所属しています。

 山王耕造はがんに侵されます。会社は長男に譲りますが、所有

している馬をどうするかということになり3頭を耕一が相続する

ということになります。

 山王耕造と耕一のなんともいえない親子としての向き合い方、

馬を間にした親子関係というものもよいなという気分になりまし

た。 

 この作品は人間の家族の関係性だけでなく、人間と馬、馬の血

筋に関しても考えさせられます。競走馬も華々しい時はほんの一

瞬。なんだか芸能人やスポーツ選手みたいな運命なんだなと思い

ました。まあ、人間であればその後の人生を自分で切り拓いてい

くということになりますが、馬の引退後の人生は‥ということも

考えさせられました。

 馬主の華々しい世界も見れましたし(馬主ってほんとお金持ち

でないと無理ね、当たり前だけど(^^;)、競馬の面白さも勝負

の厳しさも少しですがわかったような気もします。

 栗須が山王耕造に父を見ていたというのもわかります。

「ロイヤルホープ」「ロイヤルファミリー」(山王耕造と耕一の

所有馬)の最後は勝たせてやりたかった‥。(ネタバレ)★★★