種田山頭火と尾崎放哉。名前は知っていますけどというぐら
いの知識しかありません。
あと、自由律俳句?季語とか五七五とかに囚われない。
尾崎放哉で有名な句「咳をしても一人」は個人的にすごく好
きな句です。孤独が過不足なく語られている感じ。自分の心情
にも近い気がして。
山頭火は父が稼業に失敗して自分も事業に失敗するという人
生です。
一方の放哉は東大を卒業しているというエリートです。
2人に共通しているのは酒で身を滅ぼしているということです。
家庭も持つのですが、家庭も上手くいかずというところも共通
項です。
山頭火は身内に自殺者が相次いだりと気の毒なところもある
のですが、2人とも意志が弱いというのを感じ取りました。
多分日頃の憂さ、人生のやりきれなさをお酒で紛らわしてい
たのだろうなと思います。
俳句を作るということも2人にとってはやりきれなさを紛らす
手段だったのかなとも思ってしまいます。誰にも言えない鬱屈、
孤独を訴える手段が俳句だったのかなとも。
でも敢えてここではそれぞれの比較的明るい句を紹介したい
と思います。
まず山頭火。
「分け入っても分け入っても青い山」。
本書ではロマンチックなセンチメンタルな句として評価されて
います。
続いて放哉。
「友の夏帽が新らしい海に行かうか」。
本書では爽やかさが漂う句とされています。
孤独でも少しの希望があれば明るい句を作れるのだろうなと
思った次第。★★★