ある男 | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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チャウ子のごった煮風500字読書日記
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 里枝は次男を病気で亡くしそのことで夫と離婚に至ります。

宮崎の実家の文房具店に戻った里枝はそこで谷口大祐という

男と出会い結婚します。

 娘も生まれ幸せに暮らしていましたが、ある日事故で大祐

は亡くなります。大祐は家族と折り合いが悪かったため、一

周忌にやっと家族に知らせ兄の恭一がやってきますが、遺影

を見てこれは弟ではないと言い、では里枝が谷口大祐と思っ

ていた男は何者かということになります。

 里枝は離婚のとき依頼していた弁護士・城戸章良に自分の

夫だった人物は一体何者だったのかということを調査しても

らうことにします。

 この物語は谷口大祐が何者で一体何故そのようなことをし

たのかというのと同時に、在日三世である城戸が自分のアイ

デンティティに関して思い悩むという様子が描かれています。

妻との間もどことなくぎくしゃくしてもやもやするものがあ

りますがそれが一体何なのかはわかりません。

 城戸は調査していくうちに本物の谷口大祐の元カノの美涼

と知り合います。知らず知らずのうちに美涼に惹かれていく

城戸。

 里枝の夫だった男の壮絶な過去も段々と明かされていき、

戸籍とは、家族とは、遺伝とは‥といろいろと考えさせられ

ます。

 戸籍を変えて全然違う人物になるというのにも様々な理由

がありそれもそんなことぐらいで別の人間になりたいのかな

と思うものもあれば、確かに別に人生を生き直したいよねと

思う理由もあります。

 里枝や里枝の前夫との息子の悠人の「姓」の問題もなるほ

どと思いました。だから夫婦別姓は認められるべきなんだよ

なと強く思った次第です。

 ストーリーとしても面白いし、いろいろ考えさせられる小

説でした。★★★

 

 先日、この映画を観てきました。

 里枝役の安藤サクラが素晴らしく、夫役の窪田正孝も良か

ったです。

 小説では城戸と美涼が互いに好意を持っているようになっ

ていましたが、映画では美涼役は清野菜名で小説の年齢(4

0代)とは合っていませんでした。なんでだろ?