里枝は次男を病気で亡くしそのことで夫と離婚に至ります。
宮崎の実家の文房具店に戻った里枝はそこで谷口大祐という
男と出会い結婚します。
娘も生まれ幸せに暮らしていましたが、ある日事故で大祐
は亡くなります。大祐は家族と折り合いが悪かったため、一
周忌にやっと家族に知らせ兄の恭一がやってきますが、遺影
を見てこれは弟ではないと言い、では里枝が谷口大祐と思っ
ていた男は何者かということになります。
里枝は離婚のとき依頼していた弁護士・城戸章良に自分の
夫だった人物は一体何者だったのかということを調査しても
らうことにします。
この物語は谷口大祐が何者で一体何故そのようなことをし
たのかというのと同時に、在日三世である城戸が自分のアイ
デンティティに関して思い悩むという様子が描かれています。
妻との間もどことなくぎくしゃくしてもやもやするものがあ
りますがそれが一体何なのかはわかりません。
城戸は調査していくうちに本物の谷口大祐の元カノの美涼
と知り合います。知らず知らずのうちに美涼に惹かれていく
城戸。
里枝の夫だった男の壮絶な過去も段々と明かされていき、
戸籍とは、家族とは、遺伝とは‥といろいろと考えさせられ
ます。
戸籍を変えて全然違う人物になるというのにも様々な理由
がありそれもそんなことぐらいで別の人間になりたいのかな
と思うものもあれば、確かに別に人生を生き直したいよねと
思う理由もあります。
里枝や里枝の前夫との息子の悠人の「姓」の問題もなるほ
どと思いました。だから夫婦別姓は認められるべきなんだよ
なと強く思った次第です。
ストーリーとしても面白いし、いろいろ考えさせられる小
説でした。★★★
先日、この映画を観てきました。
里枝役の安藤サクラが素晴らしく、夫役の窪田正孝も良か
ったです。
小説では城戸と美涼が互いに好意を持っているようになっ
ていましたが、映画では美涼役は清野菜名で小説の年齢(4
0代)とは合っていませんでした。なんでだろ?