満願/新潮社
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今回ご紹介するのは
「満願」
米澤穂信著
新潮社刊です★★★
去年の「このミス」の1位でしたよね、確か。
短編6編です。
面白かったです。
なんかゾクっとするような怖さがあって、
なんとも言えない気持ちの悪さというか。
特に好きだったのは「柘榴」「万灯」「関守」でした。
「柘榴」は身も蓋もない言い方をすれば
近親相姦のお話ですが、
夕子という娘が感じる綺麗だった母への対抗心、
いつかもっと綺麗になるだろう妹への嫉妬、
父を独占したいという夕子の女としての部分。
そのためには母も妹も容赦なく地獄へ突き落す
夕子の残酷な姿が思わず怖いなあとため息が出ました。
でも、こういう女としての部分がない私は
小説の中でもこんな気分が味わえて幸せ(?)でした。
「万灯」はバングラデシュに赴任したやり手商社マンの話ですが、
これはラストが圧巻でした。
どのようにこの商社マンの身の破滅が描かれるのか
楽しみに読んでいたのですが、
へえーという感じでした。
やっぱり悪いことはできないもんだと思いつつ、
このラストは想像以上でした。
「関守」は都市伝説を調べるライターの話です。
わかってしまえばストーリーはそんなに
珍しいものではなかったのですが、
これはミステリーの王道を行く話運びのような気がしました。
6編ともいろんな味付けが楽しめる短編集でした。
藤浪くん、バンザイ!!