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今回ご紹介するのは
「刑事長」
姉小路祐著
講談社文庫です☆☆☆
春団治と仇名のついた大阪府警の岩切鍛治（通称ダンさん）は、
出世とは無縁の職人気質の刑事。
ある日発生した婦女暴行事件の被害者と
以前面識のあった岩切は、通り魔的犯行とする
上の方針に異議を唱え、自分の勘を頼りに
独自に調査を始めますが‥
以前ご紹介したこちらと始まりは大変似ています（笑）。
若いキャリアの署長が赴任して来ることになり、
副署長がなんとか無事この署長の経歴に傷つけることなく、
任務を全うしてもらおうという。
しかし「署長刑事」と違うところは、
今回のキャリア署長はほんとにぼんくら。
「署長刑事」の航平はなかなか骨のある人物だったのですが、
今回の貴船はほんとに嫌味な奴。
頭も悪そうだし。
まあ、それはともかく今回はこの署長はあまり
本書の本筋とは関係ありません。
読みどころは岩切のほんとに市民の安全や生活を守るために
警察は存在するという考えに基づき、
どんなに上に嫌がらせをされようとも、
その信念を貫き通すところです。
同僚にもそっぽを向かれ、息子にも理解を得られない
岩切の生き方ですが、
それでも後半になるにつれ、岩切にも味方が現れ、
警察も捨てたもんじゃないなという気持ちにも
なります。
ラストは意外な犯人ということもあり、
面白く読めました。
即物的、合理的な町、大阪が舞台のこの作品。
根っからの関西人の私、このシリーズ追いかけようと
思います！
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