プラチナタウン | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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プラチナタウン (祥伝社文庫)/楡 周平

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今回ご紹介するのは
「プラチナタウン」
楡周平著
祥伝社文庫です☆☆☆




大企業の総合商社の部長の山崎は
子会社への出向の打診を受けます。
出世の梯子をはずされた山崎。
山崎の出身は東北の緑原町。
この緑原町は莫大な負債を抱えており、
困り果てた同級生の町役場の職員クマケンは、
山崎に町長就任の打診を行ないます。
山崎は町長に就任し、この緑原町に老人向けの
テーマパークタウンを建設することを
考えます。

小説としては面白いと思いましたし、
勉強にもなりました。
ただ、内容はどうも「綺麗事」「絵空事」に
思えてしまう。
1度作者の楡さんの新書を立ち読みしたことが
あるのですが、
そのときにかなり厳しい意見を書いておられて、
どうも私は合わないなと思いました。
そのあたりがこの小説にも感じられました。
結局このテーマパークタウンに入居できるのは、
中流以上の層だけ。
まあ、このテーマパークタウンが完成すれば、
介護士などの雇用は増えるし、
町が財政的に潤うというのはよくわかるのですが、
結局高額な優良老人ホームの域を出ないのではないかと。
入居金1000万円が安いという話が何度も出てきますけど、
1000万円をポンと用意できる人がどれだけいるか‥。
この本には「リバースモゲージ」の話が出てきますが、
それだって一戸建ての家を持ってないとお話に
なりませんし。
この事業を請け負う四井商事の渡部の言葉にも
私は違和感がありました。
「額に汗って言葉を肉体労働の代名詞みたいに
使うのを聞くと、頭に来るんです(中略)。
はっきり言って、誰でもやろうと思えばできる分だけ、
安いじゃないですか。それが世間の評価であり
本音でしょ。
高い賃金を得るのは、それに相応しい労働をした人間だけ。
つまり知恵を絞り、創意工夫を凝らした人間の労働。」
これってなんだかなあと。
日本のホワイトカラーって生産性が低いって
言われてますよね。
なんだかホワイトカラーがブルーカラー(死語?)より
偉いみたいな発想が好きではありません。
この小説、天下の四井商事みたいな言葉がやたらと
出てきたり、大企業のノウハウを中小企業にと、
ありますが、大企業出身の人間が中小企業の人間より
出来がいいかなんて一概には言えないと思うんですよね。
実際私の経験上。
と、いうわけで小説としては面白かったけど、
考え方としては相容れない部分が結構ありました。



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