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小さいおうち/中島 京子

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今回ご紹介するのは
「小さいおうち」
中島京子著
文藝春秋刊です☆☆☆





昨年の直木賞受賞作品です。

昭和の戦争前後の東京の風景をバックに、
タキが女中として奉公していた回顧録。

タキは山形から上京し、最初は作家の
小中先生の家の女中となりますが、
事情で今度は若くて綺麗な時子奥様の
家の女中となります。

時子奥様の最初の結婚は不幸な結果に
終わりますが、息子の恭一とともに
嫁いだ平井家で幸せな家庭を築きます。

このタイトルの「小さいおうち」は、
平井氏が時子奥様のために建てた
赤い三角屋根の洋館のこと。

平井家は一見幸せそうです。
平井氏は仕事熱心だし、恭一ぼっちゃんの
ことも可愛がります。

時子奥様は綺麗で優しくて、タキには
最高の奥様。

日本は段々戦争に巻き込まれていく感が
あるのですが、
それさえも平井家にはそんなに影響が
あるようでもなく。

しかし、段々と戦争の落とす影のようなものと同時に、
ある男性が現れ、平井家に軋みをもたらします。

この小説はタキの回顧録ですが、
タキが時子奥様を心から慕っていて、
守ろうとしている様子がつぶさに描かれています。

昔のご主人と奉公人がこんなに深い結びつき
だったのかは、想像でしかありませんが、
現代にこのような絆を感じる関係は
ないかも知れません。

淡々とした回顧録の中に、
タキの生きた時代の風景が頭の中に綺麗に
浮かびました。
好きな小説でした。

ラストにもある仕掛けが施してあり、
そこも楽しめました。

前半は小川洋子さんの小説の匂いもしたのですが、
後半は中島京子さんの世界だったような気がします
(と、言っても私、中島京子さん初めて読みました)。

とってもいい小説でした。
よかった。




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