今回ご紹介するのは
「Run!Run!Run!」
桂望実著
文春文庫です☆☆☆
この小説は‥
解説の北上次郎さんも帯に書かれているとおり、私もラストで涙しました。
社長の父と専業主婦の母、医学生の兄を持つ岡崎優は天才的長距離ランナー。
大学に入学し、陸上部に入部した優の最終目標はオリンピック。
陸上部の仲間が目指す箱根駅伝は優にとっては通過点。
陸上部のレベルの低さにウンザリする優。
最後は優が陸上部の仲間と友情を育み‥と想像される方も多いと思います。
私もそうでしたが、物語は全然違う方向へ。
優の家族はお互いを思いやり、父は自分の達成できなかった夢を優に託し、母は医学生の兄・翼を溺愛し‥と理想的な家族のように見えます。
しかし、私はなんとなく「仮面的」というか、お互いがどこかバリアを張り巡らしてるような印象を受けました。
一方陸上部のシーンはすごく好きで特に優を慕っている岩ちゃんや、コーチの小松はいい味を出しています。
陸上部のシーンに重きを置いているように見せながら、実はこれは「家族の物語」です。
これ以上はネタバレになるので書けませんが「人間の尊厳」について問うている小説とも言えます。
是非読んでほしいです!