作家の使命 私の戦後 | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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今回ご紹介するのは
「作家の使命 私の戦後」
山崎豊子著
新潮社刊です☆☆☆



本書は山崎豊子さんのこれまでのエッセイを集めたものです。

第一章は「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」について。
第二章は「沈まぬ太陽」「運命の人」について語られています。

私は「大地の子」以外の四作品を読みましたが、山崎豊子さんの作品はどれも素晴らしいと思います。

テーマの壮大さと社会性が一番の魅力です。

私たち読者は出来上がった作品を読み、面白かったとか感動したとかの評価を下します。
山崎さんの作品は長編で読みごたえもあります。

しかし、そういう読みごたえのある作品でさえも精々数週間もあれば読み終わります。

今回本書を読んで感じたのは、読者にとっては数週間の話でも、作家・山崎豊子にとってはそんな生易しい年月ではないということです。

世界各国どこへでも取材に出かけ、ときには住み込みまでして徹底して取材をする。

小説は取材をして終わりではもちろんなく、そこから構想を練り文章にしていく‥と気の遠くなるような作業です。

しかも山崎さんの小説のテーマは決して明るい題材ではなく、そのあたりもより一層きつい作業になると思われます。

そういうきつさや辛さとどういう風に向き合い、どういう思いで山崎さんが小説を書いてきたのかが垣間見えるエッセイ集です。