遊ぶ事に夢中になっている子供は、おもちゃ箱の中から次から次へと私達を
バザーを開催するかのごとく、展開させていく。
畳の触感と匂いが、身に染みてくる。
本来の家はおもちゃ箱だけど、どちらが本当の住まいなのか時々分からなくなってくる。
しかし、脇で怖い顔のお母さんが立ち尽くしているのにも気づいていない。
つぶらな瞳を向けられて癒されて、冷たい瞳を向けられて震え上がる。
私達にとっての「家に帰りなさい」と同義の「片づけなさい」の号令は
この子にとってそんなに強い効力がないようだけど
「片づけないと、捨てちゃうよ」で、雰囲気が変わった。
カウントダウンと共に、小さな手で鷲掴みをされると
おもちゃ箱の中は、地獄絵図な交通事故を引き起こしている。
結局は、「遊ばれてるんだ」と少し憂鬱な気分になる。