『人狼天使 』篇 まとめとこれからの予想 | 平井部

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『人狼天使 』篇 まとめとこれからの予想

 

 

 

 

 

一応の結末を迎えたアダルトウルフガイシリーズ。

 

『天使 第三部』の後書きにありますように、シリーズ開始から10年という節目だったようで、一旦一区切りして再出発を図るには 良いタイミングであり、引き続き「第二期」に取り掛かる意図もあったようです。

 

 

この後の展開に関しては、ヒントがほとんどなくって、実現していたとしても、読者の想像をはるかに超えるものになっていたのは間違いなく😊

 

回収されなかった伏線をあれこれ拾いつつ、箇条書きのような形で探って行きたいと思います。

 

 

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⚪️ 寺島雛子さん。

 

『人狼白書』篇でアニキのパートナーとなった彼女ですが、保守党の大物議員である父によって拘引されて、アニキとの仲を引き裂くために、アメリカに送られている。

 

『天使』篇ではついに登場することはなく、居場所も「マイクは多分知っている」と言うことくらいで、はっきりとは分かりません。主に「彼女を巻き込みたくない」と言う気持ちから、アニキもあまり積極的にはコンタクトを取らないつもりのようです。

 

 

一つ残された大きな謎が、「雛子と大魔女サイキのいずれかが噓をついた」と言うこと。

 

 

 

 

雛子さんは「寿命は三十五歳であり、それまで六年は凶事は起きない」と言い、サイキは「あと六か月で寿命が尽きる」と言う…。

 

 

以下は自分の想像ですが、「両方とも真実」ではないのかかと。

 

 

『白書』から六ヶ月後ということは、三~四ヶ月が経過している『天使』からしばらく後のこと、アメリカのどこかに居る雛子さんに危機が訪れ、ここで生命を亡くすはずだったが、何らかの奇跡が起こって世界線が切り替わり、それから五年を生きることになる。

 

彼女が“予見”していた「女の子の赤ちゃん」も、産むことになる。名前はアニキの母と同じ「美緒」?

 

想像し得る最上の美しさで描かれていた、あのアニキとの奇跡的な一夜を経て、彼女は既に妊娠している。

 

アニキとの再会は、果たせたとしてもおそらく平穏なものではなさそう?

 

 

あまり表立った活躍をすることはなさそうですが、アニキ(と世界)を支える重要な女神の一人として、物語の行末に大きな影響を与えるのは間違いないですね。

 

 

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⚪️ マイク・ブローニング

 

彼女も、『天使』篇中においては、ほとんどまともに話せる状態で、登場することはありませんでした。しかし、彼女がふと漏らした(言葉を降ろした)“アトランティス 計画”も、着々と進行中であると思われ、今後は物語の中心になってくるのは間違いないようです。

 

 

まず、どうして“師”である松田祥智と一緒に、スパイラル・ビルを訪れたのか?

 

「拳法使いの真言坊主」である松田祥智は一筋縄ではいかない謎の人物ではありましたが、日本に居たマイクが師事するくらいですから、魔界側であるとは考えにくい。

 

 

もしかしたらあの夜、敵の首魁と思しきUTTのグリーンマンも、スパイラル・ビルを訪れていて、何か重要なミーティングが行われていたのかも。

 

あの時あの場所には、闇側も光側も重要人物がこぞって集結していた。

 

 

“アトランティス 計画” とはどのようなものになるのか?

 

一つはっきりしているのが、“また多くの友が集結しつつある”ということ。

 

犬神明、マイク・ブローニング、ダニエル・ルート、デヴィット・ファーマー、ファン・カルロス、もしかしたら“ステラ”も…

 

 

具体的な活動は、GENKEN的、もしくはルナ姫的なものになるのでしょうか。

 

アニキに感化されて、多くの若者たちが集まりかけていたことも、今後の伏線のように思えますが、ただジュディとガブリエルのように、仲間が増えるとその分「標的」も増えてしまうので、大きすぎるジレンマではありますよね。

 

 

日本に居た頃とは、まるで雰囲気を異にする“眠れる姫”マイクさん、おそらく大きな変容の途中なのだと思えます。

 

100%回復して天使としての自覚を得た彼女が、本気で人々に語りかけ、影響を及ぼしてゆく様子、ぜひ見てみたかったです。

 

 

 

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⚪️ メトセラ・プロジェクト

 

不死性を一部のエリートだけで独占し、来るべき(もしくは自作自演の)地球的危機に備える…というメトセラ・プロジェクト。

 

今までの時点では、悪魔信仰の本拠地の一つであったスパイラル・ビルを覗けただけで、ほとんどその具体的な計画は明らかになりませんでした。

 

 

少年ウルフの世界では“不死鳥作戦(フェニックス・オペレーション)”と呼ばれる「白人エリートを不死にして有色人種はぶっ殺す」的な作戦が展開中でしたが、あれともちょっと趣を違えているように思えます。

 

少年ウルフ世界では、ロイス・イヌカミ、虎4など、不死人種が囚われてしまっていたので、賦活剤である「人狼血清」など、具体的に「不死化」が進行しつつあった。

 

アダルトウルフの世界ではもっと暗黒魔術的な、おどろおどろしい印象があります。

 

どこかに不死研究所的な施設が存在するとしても、当面の敵は悪魔信仰の魔士たちとUTTのグリーンマンということになりそうです。

 

 

 

⚪️ 矢島絵理子

 

数万の悪霊たちに「無差別憑依」され、完全なる魔的存在へと変貌してしまった絵理子氏…。

 

おそらく闇のエリートとしてずっと以前から目をつけられていて、父であるJCIA矢島に対する愛憎入り混じった強烈な情念につけ込まれ、魂の根っこは魔的存在にしっかり掴まれていたんでしょう。

 

ここで終わってしまうのはあまりにも切なくて、「魔人正雪」的な、「逆に闇側に送り込まれた光のエリート」みたいな大逆転劇を見たいところですね。アニキとも、良くも悪くも魂の因縁深そうですし。

 

 

「憑依した悪霊、全部浄化昇天!」とかいう必殺技見てみたい!!

 

 

と、ここで一個突っ込み。

 

最後の対話で、「あたしのものになってくれる? 大切な人を捨ててでも」という絵理子氏の言葉に、「ああ。君がそれを望むならば」と、めちゃ男前にアニキは答えるのですが、これもし絵理子氏が相当なレベルの不美人さんだったとしても、同じように受け入れるんでしょうか…。そうだったらボク、本当に尊敬しちゃうな。

 

矢島絵理子クラスの美女なら、ちょっとくらいのリスク(数万の悪霊に憑依されてるとか)あっても、泣きながら立候補の手を挙げるアホな男子いっぱいおるやろなって思います。(まあ秒死しますがね)

 

むしろ役得やんと。

 

 

 

⚪️ 占い師 “ステラ”

 

結局彼女は闇側だったのですが、でも最初に逢った時の彼女の言葉って、どちらかというと光要素が強いと思えるんです。闇が仕掛ける罠だとは思えない。

 

あの時肉体的にはステラは死んでいるはずなのですが、あれは絵理子氏のなりすましではなく、(髑髏に封印されているという)ステラ本人の意識が顕在化していた。

 

まあ光存在やとしても、殺されとるやんけ…って話なのですが、もしかしたら『悪霊の女王』のアニマ的な、もともと肉体を持たない存在で、地球の魔士をたぶらかしているのかもしれないし。

 

絵理子氏とコラボで、魔界の深奥から大逆転攻撃! とかもあり得るかも。

 

ちょっと判断は保留ですね。

『ボヘミアン・ガラス・ストリート』に登場したステラさんも、決して底は覗かせない神秘性を持ってました。

 

 

⚪️ オルテガ

 

プエルトリカンの革命戦士で、爆弾魔で、民族的な英雄。

フォン・カルロスと共闘しつつ、裏では他のテロ組織(KGB)に通じていて、カルロスの姉ドローレスを爆死させたのもおそらく彼の仕業。

 

どうやって魔人化したのかは定かではありませんが、テロ集団の中に悪魔崇拝に深く関わる者たちがいて…という流れでしょうか。精肉工場でアニキを磔にしたKKKの連中とも関係がありそう。

 

狼男と対等以上に戦える魔人化していた時のカルロスは、ほぼ完全に意識を魔王に乗っ取られていて、そいつはアニキにかなり深い…おそらく数億年来の怨念を抱いている。

 

あの魔人化は、魔王に憑依された上に、めっちゃ多方からの魔的フォースを注入されてなされたもので、おそらくその辺の半グレの兄やんにちょっと憑依して…みたいな簡単な事ではなかったと思います。はっきり魔族の切り札の一つだった。あんなのが集団で襲ってきたら、さすがのアニキも太刀打ちできないですものね。

 

オルテガの肉体は粉々になりましたが、本体である魔王は闇の世界に帰っただけであり、さらなる強敵として再臨するのは確定事項でしょう。

 

 

⚪️ ファン・カルロス

 

プエルト・リコ・ギャング組織の美しき長。単なる暴力集団の長ではなく、知性と理念を有した天才青年。

 

彼に多大なる影響を与えた、美しき姉ドローレスを“火に関する事件”で亡くしているという事から、どこか『幻魔大戦』の東丈、三千子姉弟を想わせます。

 

ニューヨークで活動する以上、裏社会との繋がりは重要と思われ、彼の存在はアニキにとって大きなものになりそう。

 

「嘘を見抜く」という、鋭敏という以上の直感的な能力を持っており、マイクに対して多大なる関心を示す。もしかしたら二人が出逢うことによって、何かの化学変化が起こるのかも。

 

後年、平井和正に影響を与えた、カルロス・カスタネダの『ドン・ファン』シリーズを連想させるネーミングも面白かったです。

 

 

 

⚪️ そして我らが犬神明

 

逢いてえ〜😭😭😭

 

本を開けばいつでも其処に居る…とかじゃなくって、その後のアニキの活躍が見てえ。

 

 

彼も、変容期を迎えていたのは確かなようで、一番の兆しは両手と足につけられた「聖痕」

傷が消えないというだけではなく、凶事の前には出血してそれと知らせてくれる。

 

イエス・キリストとの相似点が描かれるようになったのは『天使』篇より前からのことで、もしかしたら言霊さんは、アニキにイエス・キリスト並の「救世の業」をさせようとしていた?

 

 

大聴衆を前にアニキが講演…とかはあまり考えられなくても、ジェダイ・マスター的な、彼に信を置く善き者たちが集う様子は容易に想像できて、まさにジュディやガブリエルがそうだったんですが、ステラによって闇落ちさせられ、その難しさも思い知らされて。

 

でも、東丈もそうだったように、そこを超えてこその御業であり。

 

ただ、この時点でアニキは「(人を導くことは)自分の任ではない」と固く思っていて、いきなり他人に説法を始めるようなことはまずなさそうです。

 

 

いずれにしても、僕たち読者を含めて、アニキの人柄と言葉に大いに救われる者が居るのは確かな訳で。

 

 

 

肉体的な変調に関しては、マシンガンの銃弾を受けても全然平気だし、魔人オルテガとも渡り合えるし、むしろ絶好調をキープしていて、もしかしたら、月齢関係なしに人狼の能力を発揮できるみたいな、バージョンアップもあり得るのかもしれません。

 

東丈みたく超能力封印とかになってくると、ちょっと面白くないですしね😊

 

 

今後の大きな流れを、郷子さまの言葉から推測すると、ニューヨークでとても大きな出来事が起こり、それは地球全体の運命に変動をもたらすかもしれないと…。

 

これってアトランティス やソドムを壊滅させた、地質的大変動のことであり、もしかしたら『イン・ソドム』篇はその前振りとしての意味もあった? 一度、ソドムの破壊的エナジーと通じてしまって、ニューヨークに地震が起こるシーンがありましたし。

 

 

 

「つまり、十名の心正しき者がいればソドムは救われた。天使たちの保証は、このニューヨーク市というソドムの拡大版にも適用されるということだよ。ニューヨークどころか、全世界が滅亡を免れることになるだろう。もし、十名の義人がいさえすれば……」

 

ブリザードの夜、ダニー・ルートに語ったアニキの言葉です。

 

 

「メトセラ・プロジェクト」に対抗する中で、かつての魂の仲間たちが集結し、それが「十人の義人」を探す行程とも為る…。

 

 

犬神明の魂の咆哮、確かに聞こえます😭

 

 

あの次元を救って、この世界に帰還してくれること、今も信じてます。