笑えます(^_^)。
真っ黒な幻魔的な喜悦にどっぷり浸り、リアルに本を閉じて大笑いすること数度。
各方面に気を使った洒脱なユーモアなどではなく、毒に溢れたアブナイ台詞のオンパレード(^_^)。差別用語もびしばし出て来て、紙の本で無修正で出すのは難しいんやないやろか? って心配してしまうくらい。
初期SF作家のキラ星のごとき面々が、頻繁に集まってとても公にできないような話題を語り合い、狂死の恐怖が頭をかすめるほど笑い狂った……というエピソードはよく語られますが、そんなレジェンド作家達が持ち合わせていた強烈なブラックユーモアが、全編に散りばめられています。
「毒々しく、悪意に充ちていて破壊的であるのです。人類への害意をこめた嘲笑なのです。」と、著者自身が後書きで述べるように、ハチャメチャな登場人物たちは安易なヒューマニズムなぞ持ち合わせず、自らの欲望と信念にのみ従い、驚愕のエンディングに向かって突き進みます。
「ごく普通の中学生6人が、謎のUFOと遭遇し、潜在能力の全てを解放される」所から、物語は始まります。
UFO内部にて、6人にコンタクトを取ったのは「人類が地球にわいてから百万年というもの、じっくり観察してきた」という存在で、曰く、人類に宇宙に進出する資格があるのかどうか「試験」する為に、彼らの超人能力を解放したと。
これは、『超革中』より前に発表されたコミック『エリート』の設定をほぼそのまま当てはめたもので、同作に関しては別に書きます。
さてこの超越存在、超革中のメンバーは「宇宙人X」と仮称しとりますが、改めて読み返してみると「宇宙人である」という自己紹介は全くないんですよね。ですので、外宇宙からやってきた宇宙人というよりは、後の『アブダクション・シリーズ』で存在が明かされた異次元からの侵入者、UFOエイリアンに近いのかもしれません。
『エリート』では、“天空に開く巨大な瞳”として現れた「観察者」たる存在ですが、『アブダクション・シリーズ』でも、ほぼ同じ様相で登場します。作者の当初の意図よりも、さらに数段複雑なバックグラウンドを持っていそうです。
『アブダクション~』がそうであるように、『超革中』もめちゃくちゃ深い「多元宇宙もの」としてのテーマも孕んでいるようです。
エンディングでヨコジュンは、「世界のやり直し」を託されて新しい次元に跳び、ヨコジュンらしからぬ哲人的独白でクロージングを迎えます。時空を越えた、超革中メンバー達の行く末を全て見守っていたのだとすると、矢張り「宇宙人X」はただの宇宙人ではないのかも知れません。
ちなみに、『超革中』のメンバーは『地球樹の女神』にも登場し、こちらでもまったく違う方法で超人化してしまいます。あの『地球樹』の世界も、実はヨコジュンが何度目かにやり直した世界だった……って考えたら、なんだか調子ノリのヨコジュンが東丈なみの救世主に思えてきてしまいますね(^_^;;。
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